深まる関係−9
いつもここに来るときは、怪しまれないよう仕事後となる。そのため、まずは燈矢がシャワーをするついでに湯舟にお湯を貯め始め、応利が続いてシャワーをしつつ後ろの準備を行い、程よいところでお湯を止める、というのがルーチンだった。
いつものそれを済ませ、バスローブでベッドに向かう。すでに部屋は薄暗くなっており、白々しいベッドヘッドの紫の照明が燈矢を照らしていた。
下着姿で待っていた燈矢は、シーツの上に上がった応利を抱き締めつつ、バスローブの前をはだけさせ、胸板に舌を這わせる。
「んっ、」
「あァー…応利をここに連れ込んでるって思ったら、なんか興奮してきた…」
「あほ」
変なことを言い出すため、デコピンをしておく。燈矢は喉の奥でくつくつと笑いつつ、バスローブを脱がせた。
そのままベッドに押し倒され、視界いっぱいに燈矢の美麗な顔立ちが広がる。同時に、運転席で車を走らせていた姿も思い出された。
つい、背中に手を回しぐっと引き寄せる。燈矢もすぐに応じて応利を抱き締めた。
「いろいろ言いつつ乗り気じゃん」
「そりゃ…運転してるとこ見たら、なんかこう、ぐっと来たっつか…」
「俺が言ったこととそんな変わらねェだろ」
言葉こそ呆れているが、声のトーンは嬉しそうだ。
そのまま上機嫌に燈矢は後ろをほぐしにかかる。今日は家からここに来ているため、あまり長居するわけにはいかない、というのは二人とも分かっている。
いくら二人の関係を冬美と夏雄が知っていると言っても、二人とも思春期だ。こういうことを匂わせるのは良くない。
10分ほどして、燈矢はゴムをつけて応利の後ろに宛がう。そもそもローションもゴムも持参しているあたり、最初からここに連れ込む気だったということだ。
京都で初めて行為に及んだときに比べれば、すんなり入るようになった。
ぐっと力を籠め、燈矢が中に入ってくる。大きいものは大きいため、さすがに入れられてすぐは慣らすためにお互い止まる。
その間、燈矢は再び応利を抱き締める。
「は、はッ、とうや、このまま動いて」
「ん、分かった」
ぎゅっと抱き着いて言えば、燈矢は頷いてゆっくり腰を動かす。
前は苦しさの方が大きかった前立腺は、今ではすっかり快感だけを発生させる。しこりを圧し潰すように燈矢も責め立て、腰の動きが早く大きくなるたびに、奥から脊髄を走り抜ける快楽の波が脳天を揺らした。
さすがの体力というべきか、腰を振り始めてから徐々に深さと速さが増しているのに、それは一定であり、ずっと続いている。休むことなく腰を振られ、あっという間に昂っていく。
「あッ、んっ、ぅあっ、!」
「かわいいな、応利っ、」
頭を押さえつけるように撫でられ、耳元で低く濡れた声で囁かれる。直接脳に響くような甘いそれに、ぞくりとして深く抱き着いてしまった。
そのときについ、後ろも締め付けてしまい、自分でいいところを強く刺激してしまった。
「ひッ、ぅあっ、〜〜〜ッ!!」
「くッ……!!」
その衝撃で果てた応利は、白濁を自身の腹に散らす。燈矢もワンテンポ遅れて、その締め付けに抗えず中で達した。ゴム越しにどくどくと脈打つのが分かる。
二人の呼吸音だけが響いたあと、燈矢はそっと引き抜きながら応利の頭を撫でた。
「最近はちゃんと甘えてくれるよな」
「ん…まぁ、さすがに慣れたし」
普段からこんな距離になるわけもなく、応利が思い切り燈矢に甘えることがあるとすれば、基本的にそれは行為中のみとなる。
ぐりぐりと燈矢の肩に額を押し付けるようにして抱き着く。
「つか、この体勢好きだよな」
「あー、うん。燈矢と一番くっつけるっていうか、一番近いところに感じられるから好きなんだ」
しかしいかんせん、行為直後は頭もふわふわとしている。普段なら言わないようなことも口をついて出てきてしまう。
応利は言った直後に、恥ずかしいことを口にしたと気づいた。しかし時すでに遅し、燈矢は笑みを浮かべてキスを落とした。
「可愛いことあんま言うなよ、2回目いっちまうから」
「ったく…」
さすがにそんな時間はないが、最悪燈矢は突き進む。応利は余計なことを言わないようにしようと思いつつ、時間があるときは、こういう煽り方もありか、とこっそり思った。