消えない過去、生きたい未来−9


そして、二人の唇がそっと重なった。最初は触れるだけ、続いてリップ音を立てて重なり、さらに応利の唇を開いて熱い舌が口腔内に入ってくる。応利の舌と絡まり合い、互いに互いのものを追いかけるようにせわしなく動く。さらに、燈矢の舌が応利の上あごを刺激し、ぞわぞわしたものが背筋を這い上がった。
声こそ出なかったが吐息が漏れ、それを合図とするように、燈矢の手が応利のTシャツの裾から中に入り肌を直接撫でた。

燈矢のかさついた指先が応利の肌をなぞり、胸元に達すると、きゅっとその先をつままれる。他人にそんな触れ方をされたことがない場所で、しかも相手が燈矢となれば、体が勝手に震える。
燈矢は口を離し、胸元を触りながら至近距離で応利の様子を窺う。


「ここ感じる?」

「ぁっ、お前に触られると、なんか、変な感じする…」

「かわいい」


それだけ言うと、燈矢は応利のシャツをまくり上げて肌を露出させる。上を脱がされたため、応利も燈矢のシャツを掴んだ。
言外にお前も脱げ、と促したため、燈矢もシャツを脱ぎ捨てる。同時に、明るいのが気になったため、応利は腕を伸ばして頭元にあるスイッチを操作し、読書灯だけを点灯させ消灯する。

読書灯に照らされた燈矢の逞しい体は、筋肉が明かりに照らされて影を作るが、同時に、鳩尾から脇腹、鎖骨から首筋にかけての火傷跡も生々しく浮き彫りになる。

燈矢も、応利の下腹部や左の脇腹、左上腕に残る火傷の跡をなぞり、痛ましそうにした。申し訳なさそうな色も見えて、応利も燈矢の火傷跡に触れた。


「燈矢」

「…ん?」

「おそろい、だろ。俺は嬉しいよ、今この瞬間があるのはこの跡のおかげだからな」

「ッ、」


応利の言葉に燈矢は息を飲む。そして、ぎゅっと応利を抱き締めた。やはり温かい。


「…なんつか、好きとか愛してるとか、そういう言葉じゃもう、あんたへの気持ちを表現しきれねェ」

「じゃあ言葉にしなくていい。そのために、こうやって体を重ねるんだろ」


そう言ってひとつキスをしてやると、燈矢は顔を赤らめる。
「ずりィよマジで」とぼやいてから、燈矢は応利の首筋にキスを落とし、徐々にキスの位置を下げていく。鎖骨、胸元と至り、そして乳首を口に含んだ。
ぬめりを帯びた生暖かい咥内に包まれ、舌で先を絡めとられると、刺激が下腹部に溜まるような感覚がする。


「ぅあっ、んッ、」


堪らず声を漏らすと、気をよくしたように燈矢はさらに責め立て、反対側も指でつまむ。胸板から快感の波がどんどん下腹部に集中していき、下着の中が窮屈になっていく。

それを察して、燈矢は応利のジャージを片手で器用に脱がせていき、下着越しに応利の自身に触れた。
いよいよ直接的な刺激が与えられ、びくりと震える。

応利も燈矢のものに触れたかったが、ちらりとその表情を見れば、応利の体を弄りながらひどく興奮したようにしていたため、ここは我慢する。燈矢にがっつかれている、という事実だけで応利も興奮してしまい息が上がった。お互い、あまり刺激すると暴発しかねない。

前戯を楽しむ余裕は二人ともなさそうであるため、応利はもう先に進めることにした。


「燈矢、俺のバッグにローションある」

「俺も持ってきてるからいい」


念のため、とボトルのローションを持ってきていたが、どうやら燈矢も自分で持ってきていたらしい。お互い準備万端すぎて笑えてくる。
燈矢はベッドサイドに置いた鞄からローションを取り出すが、応利が用意していたものとまったく同じメーカーのものだった。肌への負担が少なく乾燥しにくいというものだ。

燈矢は応利の下着を無造作に脱がしてから、ローションを手に取り、手の平で温めてから応利の後ろに塗る。


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