消えない過去、生きたい未来−10
自分でやったときと同じ感覚であるはずなのに、人に、燈矢に与えられた刺激であるというだけで、簡単に快感を拾ってくる。
呼吸の周期が短くなるが、必死に呼吸を一定に保つ。燈矢は少しずつ、括約筋をほぐすようにマッサージしていく。円を描くように穴の淵を指でなぞる仕草は、きちんとどういう手順で進めるべきか理解している動きだった。
やがて少しずつ、指先が中に入るようになった。試すように、応利が痛みを感じていないか確認するように、燈矢は慎重に指の先だけを出し入れする。
開発の甲斐あって、指くらいならすんなりと入るが、それに燈矢は首をかしげる。
「…随分簡単に入るな。ここまで準備したのか?」
「え、あぁ。ちゃんと入るように、ちょっと前から拡張?ってやつしてきた」
燈矢はそれを聞いて少しだけむっとした。
「それも含めて俺が全部やりたかった」
「今日初めてだったら入らなかったと思うぞ」
初めてトライしたときに軽く絶望した。こうやって指が簡単に入るようになるまで時間がかかったため、京都滞在中に入るようにはならなかっただろう。
応利は少しだけ体を起こして、燈矢の肩に目元を埋めるように顔を寄せる。まだ応利の中に指を入れているため筋張っている右腕に手を添えて、燈矢の顔のそばで内緒話をするように続きを話す。
「まぁでも、入るようにしただけだ。感じるとかそういう次元じゃねぇ。ここから先は、全部お前の」
「っ、あんたな…!」
簡単に煽られた燈矢は、再び応利をクッションと枕に押し倒しつつ深くキスをする。同時に、指を置くまで入れながら、感じるところを探すように中でまさぐる。
その指先が前立腺のしこりを掠めると、キスをしながら声が漏れる。
「んぅッ、っ!」
「お、ここか」
燈矢はすぐに正確な位置を割り出す。まだ刺激を受けても強い快感というよりは押されている違和感の方が近いが、それでも確かに、ずくりとした重い快感の波がダイレクトに伝わってくる。
ほぐす必要があるのは括約筋のところだけであり、中の確認は感じるところの位置を確かめることだけが目的だ。
燈矢は指を優しく引き抜くと、応利の体をシーツの上を滑らせるようにずらし、ちゃんとベッドの上で仰向けになるように位置を変えた。ベッドヘッドに寄りかかる姿勢のままでは、下半身の位置が下がってしまい入れづらい。
その後、ローションと一緒に取り出していたゴムの袋を歯で押さえて切り取り、中身を取り出す。
そして下着ごと下を脱ぐと、いきり立つ自身を覆った。
その大きさに、応利は固まる。炎司の体格を考えればあり得る話だったが、それでもやはり、こうして父親譲り(だろう)大きな逸物を見ると若干の恐怖も感じる。
「痛かったら我慢すンなよ」
「ん。でも俺も、燈矢とつながりたいから、頑張る」
「もうこれ以上何を頑張るんだよ」
燈矢は大人っぽく笑う。慈愛に満ちた笑みは、愛しいという感情が如実に表れていて、思わず見とれる。
ゴム越しにローションを纏わせ、一度手をタオルで拭く。そのうえで、自身を応利の後ろに宛がった。
「…入れるぞ」
そう一言宣言してから、燈矢はぐっとそれを応利の中に押し込んだ。同時に応利も、力を抜きつつ括約筋を開こうと別のところにも力を入れる。
最も太い先端部分さえ入れば痛みはない。最初はさすがに僅かに痛みが走ったが、中に押し込まれてしまえば奥に痛みは感じなかった。
だが、大きなものが腹に埋まる圧迫感はとてつもなく、力を抜こうとしても反射で締め付けてしまい、その形がはっきりと分かってしまう。
「ッ、は、はっ、」
「大丈夫か、応利」
「だい、じょう、ぶ、だけど、待って」
「ン、ゆっくりな」
燈矢はそう言って、体を倒して応利を抱き締める。穴の淵のわずかな痛み、奥を埋め尽くされる圧迫感に耐えていたが、燈矢の温もりによって体が弛緩する。
縋るように背中に手を回し深く抱き着いた、そのとき、姿勢が僅かに変わったからか、前立腺が圧迫される感覚が走り、快感の波がやってくる。
「ぁッ、ひっ、んッ!」
「…、そろそろいいか?」