消えない過去、生きたい未来−11


必死に頷くと、燈矢は少しだけ腰を動かす。スラストするというより、入ったままで体の奥を揺らすようなものだ。ずん、と腹の奥に響く重い快感に息が詰まった。
さらに、また少し腰を引いて、再び中に押し込む抽送をしてくる。それによって前立腺が刺激され、敏感な穴の淵も引っ張られてかゆいような快感が走る。


「はッ、あっ、ぅあッ、!」

「はぁっ、くッ、やべェ、これ…っ!」


次第に腰の動きは激しくなり、打ち付けられる度に奥や前立腺が強く刺激され、最初は弱かった快感が強く、短いスパンで押し寄せるようになる。
それでも、本当はもっと強く腰を振りたいだろうに、応利を気遣って大仰な動きはしないでいてくれていた。

ベッドがギシギシと音を立て、いつの間にかシーツに置いていたローションのボトルが倒れていた。読書灯が照らす燈矢の影が背後の壁で動き、応利の声と燈矢の呼吸が部屋に響く。

爪を立てることこそしないが、燈矢の広い背中に縋り、燈矢も応利を抱き締めてたまにキスを落としながら体を寄せる。
応利のものは、触れていないが燈矢の腹筋に裏が擦れており、その刺激があっという間に応利を高めていく。


「っあ!んっ、ぁッ、も、やば、とうや…ッ!」

「俺も、やべェ、応利、好きだ、応利…っ!」

「〜ッ!!」


燈矢に好きだ、と耳元で必死な声で言われた瞬間、頭が真っ白になるような衝撃とともに、これまでで一番と言っていいほど、応利は強い快感の中で果てた。中で達したというより燈矢の体に擦れた刺激で達したという方が正しいが、全身で感じる快感は確かに中から伝わってきたものだ。

さらに、それによって一気に強く後ろを締め付けてしまったため、燈矢も少し腰を揺らしてから達する。応利の中で果て、動きが止まる。ゴムの中に出されているとはいえ、ドクドクと脈打つ燈矢のものが腹の中で揺れていた。

二人の荒い息遣いだけが部屋に響く。数十秒後、燈矢は自身をゆっくりと引き抜いた。内臓ごと持って行かれるのではと思うほどだったが、なんとか応利の中から出ていき、ぽっかりと隙間ができてしまったように感じられた。

応利の腹に飛び散った応利の白濁を拭きとり、自身のゴムを処理した燈矢は、手をタオルで拭いてから、応利に覆いかぶさるように倒れる。体重はこちらにかけておらず、応利を抱き締めるようにしてシーツの上に横になった。


「はぁ…、応利、大丈夫か?」

「ん…へーき、言っただろ、ヒーローなんだから、これくらい大丈夫だって」

「無理はすンなよ」


そう優しく言いつつ、燈矢の左腕に頭を乗せる腕枕の体制になる。胸元に抱き込まれたため、汗で少し濡れている胸板に額をつけた。

じわじわと、燈矢と体を重ねたという事実が沸き上がる。想いが通じ合ってから3か月、ようやく二人の関係は名実ともに恋人になったのだろう。
その実感が、目の前の存在を愛しいという気持ちを強くさせた。


「うわ、待って、やばい、めっちゃ燈矢のこと好きって感覚になってる」

「あんま可愛いこと言ってると二回戦いくぞ」

「さすがに初めてで連戦は無理だって…」


代わりに燈矢はぎゅっと応利を抱き締める。まだ連戦に耐えうるほどの開発はできていないため、今日はこの1回までだ。
燈矢はその負担を理解しており、応利の後頭部を撫でる。燈矢にそうされるのは初めてのことで、かつ、頭を撫でられるなど何年ぶりだという話で、その慣れない感覚に心臓が音を立てる。


「…ありがとな、受け入れてくれて」

「別に、俺がやってあげた、ってモンじゃねぇけど…今日できて、嬉しい」

「俺もだ」


応利からも抱き着けば、燈矢も嬉しそうに返した。
収まるべきところに収まったというか、あるべき場所に帰ったというべきか、言葉は分からないが、二人は今、ぴたりと噛みあっているような気がした。
心が通じて、体をつなげ、心身ともに二人はひとつになれた。その実感とともに、二人の間にあった壁や線引きは薄れ、確固たる絆に変わったのだ。


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