5
緑谷の言葉を遮って爆豪が言ったときには、正面に脱出ゲートが見えていた。乗ってきたバスもボロボロになって停車している。
爆豪が次にオールマイトが追いついたときのことを想定すると、突然、背後から声が現れた。
「うんうん、それでそれで?」
それがオールマイトだと認識する前に、爆豪は篭手に手を掛ける。しかし目にも止まらぬ速さで、オールマイトは篭手を一突きで破壊してしまう。
「速すぎる……!」
緑谷の愕然とした言葉に、オールマイトはなんでもないように言った。
「これでも重しのおかげで全然トップギアじゃないんだせ?さぁ…くたばれヒーローども!」
咄嗟に、灯水は蒸気を反転させてその場を離脱した。オールマイトは緑谷の腕を片手で掴んで宙にぶら下げ、爆豪を蹴り落として地面に足で縫い止める。
「素晴らしいぞ少年たち!不本意ながら協力して敵に立ち向かう…ただ!2人とも!それは今試験の前提だからねって話だぜ」
「爆豪君、緑谷君っ!」
灯水は地面に降りて氷結を放つも、オールマイトは緑谷を掴んでいない方の手で軽く宙を薙ぎ、その衝撃波で氷結ごと灯水を吹き飛ばした。
「ぅぐっ!?」
灯水は蒸気で受け身を取って着地したが、遠距離攻撃をするにも離れすぎて隙を突けなくなってしまった。この間合いの取り方がプロだ。
オールマイトは緑谷を放り投げ地面に転がす。
「最大火力で私を引き離しつつ脱出ゲートをくぐる、これが君たちの答えだったようだが、その最大火力も消えた。終わりだ!!」
もともと火力に乏しい灯水では決定打を打てない。それに、爆豪を巻き込んでしまう。せめて拘束が外れれば、と思ったときだった。
爆豪が、手の平をオールマイトに向けて突如として大爆発を起こしたのだ。
それは篭手の比ではない。反動で骨折しかねないほどのものである。
それによって爆豪が拘束から外れると、緑谷をひっつかみ、そして爆破しながら放り投げた。ゲートへ一直線に。
「New Hamshire Smash!!」
すると、オールマイトはおもむろに攻撃を逆方向に放つと、その反動を使ってヒップアタックを行った。緑谷に直撃し、もろに腰に入る。地面に叩きつけられた緑谷は震えていた。
だが、すかさず爆豪がさらなる爆破を繰り出す。オールマイトはそちらに気を取られて緑谷から離れた。
「来い灯水!!」
「ッ、」
爆豪は必死なのか、叫ぶように言った。
「てめぇと俺の範囲攻撃で畳み掛ける!!」
「っ、分かった!!」
灯水はすぐに蒸気で飛び上がると、オールマイトに向けて空中から氷結を放つ。鋭利なアイスピックのようなそれを、爆豪の爆破の延長線に出現させることで、鋭い針が爆破に乗ってオールマイトに突き刺さろうとする。
それをやはり一薙ぎで吹き飛ばして、オールマイトは緑谷に視線を向けた。
「行けデク!!にわか仕込みのてめぇよか俺らの方がまだ立ち回れんだ!!役に立てクソカス!!」
さらに大爆発を起こす爆豪。その腕はとっくに限界だ。
灯水も地面やビルから氷の針のような柱を突き出して刺そうとするが、オールマイトはいとも簡単に避けていく。爆豪の足場となる氷を作って、超臨界水によってオールマイトの気を引き、爆破を当てようとしたが、当たらない。
そこへ、ゴールに近付く緑谷を止めようとオールマイトが方向を変えた。それに合わせて爆豪が爆破ですかさず向かうが、それを見越して、オールマイトは爆豪の頭を掴み、地面に叩きつけた。誘い込んだのだ。
「爆豪君ッ!!」
灯水が後を追うも、オールマイトは近くの街灯を持ち上げて振り回す。それに足をぶつけ、蒸気のコントロールがずれた灯水は地面に体を打ち付けた。