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幸いにも、一発で成功した。
チャンネルが合ったラジオのように、シオンの声がクリアに聞こえてくる。


『どうした?!何があった?!』

『いきなり、変な男たちに車に押し込まれて…その、そういう目的みたいで』


シオンの意味することを正確に理解した鋭児郎は、顔が青ざめるのを感じた。思わず口が開いて、自分の声で「嘘だろ…」とつぶやいてしまう。


「できたのか」

「はい……いきなり車に押し込まれて攫われて…その、体を…」

「…チッ、外道め」

「はぁ!?なんだそれ、んな凶悪犯罪…!」


フォースカインドは舌打ちをつくと、車の速度を速める。鉄哲ががつん、と金属音をさせながら拳を撃って怒りを露わにした。


『だ、大丈夫なのか!?』

『……、今のところ、そこまではされてない、けど…』

『けど…?』

『……も、嫌だ…こんなの、もう、嫌なんだ…!!』


そんなシオンの声を聞くのは初めてで、同時にシオンの恐怖や不快感までうっすらと伝わってくる。鋭児郎は心臓が締め付けられるような感じがするのを感じて、思わず胸に手を当てた。コスチュームの胸元のベルトを握りしめ、怒りで震える。


『…シオン、今どこ走ってるか分かるか?」

『…、たぶん、国道○○号線…首都高に向かってるっぽい』


鋭児郎は聞こえて来た国道の名前を素早くフォースカインドに告げる。フォースカインドは顔をしかめ、車をいきなり交差点で右折させた。


「厄介だな、広い道路を意図的に選んでるんだろう」

「でも、高速に入るんなら、絶対途中で2車線の道に入ります、国道からだとそうしないと高速に行けねぇから…」

「それまでは耐えてもらおう。ちなみに、その被害者は何か自衛の術はあるのか?」

「…実は、俺より腕っぷし強いです。内戦中のソグディアナで少年兵やってたんで。だからこそ、相手のこと殺しちまうかもって思って、その隙に連れ去られちまったんだと思います」

「……そうなのか」


驚いたようにするフォースカインド。鉄哲は、なら抵抗すれば、なんて不思議そうにしていたが、遅れて広い道でそうしても意味がないことに気づいたのか合点していた。



「その気になれば、車から飛び降りるくらいはできるヤツです」

「それなら話は早い。ちょうどその国道は渋滞している、ギリギリ、我々が高速に出るための2車線道路に出る頃に向こうも着くはずだ。それまでは、抵抗は控えさせろ」

「…はい」


抵抗して別のルートに変えられても困る。山側へ向かわれてしまっては追跡は不可能だ。鋭児郎は自宅から高速までの位置から、シオンたちが幹線道路を抜けるまで時間があることを知っている。だからこそ、その間にシオンに抵抗せずされるがままになるよう言わねばならないことに、もはや絶望すら感じていた。


『…シオン、聞こえるか』

『うん、』

『俺たちは今そっちに向かってる。渋滞してるだろ?』

『ちょうど渋滞に引っかかってるところ』

『…そっから、シオンが車飛び降りられるような道路に出る頃に俺らも着く。飛べるタイミングが来るまでは、その、抵抗しねぇでくんねぇか』

『………分かった』

『…ごめん、ごめんなシオン、ごめん…ッ!!』


シオンが、男たちに好きなようにされて苦しそうにしているのがありありと伝わる。それを強いている自分の不甲斐なさに泣きたくなった。血がにじむほど拳を握りしめると、鉄哲が心配そうに鋭児郎を呼ぶ声がした。


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