お騒がせ会見 クリスマス編−4


ゆく先々で耳が爆発しそうな絶叫で迎えられるうちに、緑谷と回る最後の学校でもプレゼントを代表の生徒に渡し終えた。

小学3年だという男の子は呆然としていたが、「いつも君が頑張ってるの知ってるからね。俺がついてるよ」と言ってやると、ぐ、と涙目になっていた。


その学校で緑谷トナカイとは別れ、今度は爆豪トナカイと合流することになっている。
校庭に出ると、窓から子供たちが顔を出す。彼らに手を振って緑谷が飛び上がっていなくなると、その人間離れした動きに歓声が上がる。

続いて、連続する爆発音とともに空から降って来たのは爆豪だった。子供たちからは驚く声が上がる。


「おせぇ」

「時間通りだけど」


荒々しく歩く様子に、子供たちの一部は黙ってしまう。イメージアップのためだろう、と応利は爆豪に呆れた。
そんな爆豪も緑谷と同じく、スタイリッシュな格好だ。ブーツや籠手はいつもと同じだが、派手なアイマスクは外していた。背負われるうえで邪魔だからである。


「チッ、ガキがうるせぇな」

「お前本当にやる気あんのか」

「あ?ヤる気はあるぜ」

「……深く言わないでおくわ。さっさと行こう」


なんだか不穏な意味合いな気がして、応利は話をそこで止めた。そうして、爆豪の背中に負ぶさる。
逞しい背筋と肩甲骨を感じながら、爆豪もまた、抜群の安定感でもあって空へ飛び上がった。爆破によって地面には土煙が巻き起こり、焦げ臭い臭いが漂う。
その派手さに、やはり格好良さを感じたのだろう、怖がっていた子供たちも歓声を上げて手を振ってくれた。

緑谷は足を押さえてくれていたが、爆豪は爆破で手がふさがっているためそれはない。その代わり、体を水平にしているため足の支えがなくとも平気だった。


「おお、さすがの安定感」

「ったりめーだろうが」


揺れないし、袋を持って片手だけなのにバランスを取れる。さすが才能マンである。眼下の街並みは先ほどよりもすぐ飛び去って行くが、爆豪の爆破移動は有名で、音で気づいた人々がやはり手を振っていた。


「にしてもさ、爆豪もイメージ気にしたりすんの?」

「してねぇよ」

「え、じゃあなんでこんなことやってんの」


イメージアップのための企画に参加するとは、と思って聞いてみると、爆豪からはそんな答えが帰って来た。さらに聞いてみると、沈黙のあと静かに答える。


「俺がトナカイなんざ扮して運んでやろうと思えんのはお前だけだ。他のヤツならぜってぇやんねぇ」

「…いや、別にそれでときめくと思ったら大間違いだかんね?」

「うるせぇ殺すぞ!!」


どうやらこちらは下心でしかなかったらしい。この3人が下心丸出しで関わってくるのには、悲しいかなもう慣れた。そのため、特に動揺もない。
だがあまりにも無下にし過ぎるのも可哀想だと切島に言われ、紳士な切島に言われると弱い応利は、少し機嫌を取ってやることにした。


「ほら、笑顔見せてみろよ」

「あ?ざけんな」


応利は起こしていた上体を、爆豪の背中にくっつける。袋を掴む手はそのままに、反対の手でスマホを自撮りにして、爆豪とともに映る。安定感のある爆豪でなければできない芸当だ。
爆豪が目を逸らすのは予想通りだ。その状態で応利だけ笑顔になって写真を撮ると、いくつかのSNSに投稿する。

スマホをしまうと、応利は爆豪の肩甲骨の間に顔をうずめた。顔はずっと外気に触れているため、そろそろ寒いからだ。
爆豪は無言でいるため、この距離を許してくれているのだろう。その温もりをありがたく享受しながら、2人もまた、いくつかの学校を相次いで巡っては歓声を浴びていった。


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