初デート−2


そんな感じで始まった2人の関係だったが、2週間ほどして、勝己から「次の日曜空けとけ」と突然命令された。これはもしかしなくてもデートの誘いだ。二つ返事で了承してから、勝己の様子からしてエスコートしてくれるのだということも察した。

応利としては、別に同性カップルで男女のような「役割分担」のようなものはいらないと思っている。今どきは男女のカップルでも割り勘を徹底するのが異常ではない時代だ、男が、ここでは「男役」がリードするという必要はない。
ただ勝己がどうやってくれるつもりなのか純粋に気になったし、やりたいようにさせてやりたいというのもあったので、まずは任せることにした。
今後の事は、きちんと話し合えばいいだろう。




そして来る日曜日。
平年より高い気温ということで、半そでのシャツにカーディガン、スキニーパンツという出で立ちで待ち合わせ場所の駅前に向かうと、すでに勝己が待っていた。勝己は赤いシャツに黒いジャケット、ブラックジーンズとシックな格好で、正直普通に格好いい。
集合時刻5分前なのにもう来ているので、小走りで向かうと、勝己は応利がまだ5メートルほど離れているのに顔を上げた。人手が多いのになぜすぐ気配を察知できたのか。


「おせぇ」

「おっといきなり理不尽から始まったぞ」

「まず飯行くぞ」


むしろ早かったというのに遅いと言われ反論するも無視され、勝己は歩き出す。慌てて隣に並ぶと、すぐに速度を落として隣をキープしてくれた。
時刻は午前11時、日曜なのでレストランに入るならいい時間だ。県内でもおしゃれな街として知られる繁華街だけあって、この時間からすでに人込みができている。


「あ、見て勝己、あのクレープめっちゃ美味そう」

「くそ甘そうだな」

「ミニステップの新作アイスだ!」

「くそ甘そうだな」


時折隣の勝己に道端の甘いものを指さしては「くそ甘そう」と評される。甘党の応利と辛党の勝己は基本的に食の好みが合わない。
食堂で一緒に昼食を食べるときも、カレーの辛さが2人は辛さ表の端と端で違う。そこまで対極だと逆に喧嘩にならなかったりする。

そうして繁華街の一角にあるハンバーガー屋に入った。ファーストフードではなく、ちゃんとしたハンバーガーを出す単価の高いところだ。だが高校生でもつらくはない範囲にあるちょうどよい価格帯でもある。


「予約の爆豪」

「はい、こちらへどうぞ」


どうやら勝己は予約していたようで、店内で少し並んでいる人たちを横目に早々に通された。確かに、日曜なら席だけ取っておくのがベターだ。
店内はハワイっぽく、ポップな雰囲気もあるため、落ち着いてはいるが応利が委縮するようなものでもない。天井で回るプロペラのようなおしゃれな空調を見ていると、勝己はメニュー表をちらりと見て、すぐに注文した。


「ランチAと半プレート」

「かしこまりました」

「えっ」


応利の希望も聞かずに頼まれたので驚くと、勝己はメニュー表のひとつを指さす。


「お前これな」

「別にいいけど…」

「別んとこ行くからこれくらいにしとけ」


半プレートは軽食のようなもので、小ぶりなハンバーガーとポテトのセットだった。勝己はがっつりとしたセットである。どうやらこのあとの予定のために腹を空けておかなければならないらしい。
そんなに勝己と応利で食べる量が異なるわけでもないのだが、とりあえず勝己に任せる方針のため、特に文句もなく応利は出されたものを食べることにした。


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