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1000文字未満のSS夢
ダイゴチリ

2023/02/28
【理由は知りたくない】

Character: ダイゴ

 あのね、と話を切り出した彼女は頬を紅潮させひそひそと囁いた。

「彼氏が出来たの」
 今はスクールのバトル実技演習の最中で、ダイゴはクラスメイトのバトルを真剣に見ていた。隣で同じように見ていたナマエが時々チラチラとこちらを見ていたのには気付いていたが、どうせ目の前のバトルの展開に何か言いたいだけだと思っていた。目の前の二人より彼女の方がうんと上手だから。
 ところがナマエはダイゴと目が合った瞬間に瞳をキラキラさせ、ダイゴには関係のないどうでもいい事を重大発表のように耳打ちした。それが突然の「彼氏が出来たの」だ。
 予想外の言葉にダイゴは隣の彼女に顔を向ける。あまり日焼けのしていない頬は今やメタングの瞳のように真っ赤になっている。そんな彼女を見たのは初めてだった。
「今授業中だよ」
 ダイゴは目を逸らしてため息を吐く。視界に入ったバトルは膠着状態で勝敗が決するのにまだ時間が掛かりそうだった。
 ナマエがごめん、と小さな声で謝るのが聞こえる。初めて聞くか細い声に、少し厳しく言い過ぎたと視線を戻す。
「でも今日、朝から全然ダイゴくんと話すチャンスなかったから……親友のダイゴくんには一番最初に伝えたかったの」
 親友という言葉を聞いてダイゴの瞳が大きくなる。
 ダイゴとナマエは幼なじみで小さな頃から遊んでいた。どちらもスクールに入って親しい同性の友達を作っていたが、それでも変わらず仲良くしていた。最初の頃は揶揄される事もあったが、二人の間に特別な感情がない事はすぐに知れ渡り、だからこそ今こうやって二人並んでいても誰も何も言わない。ダイゴ自身、彼女を幼なじみとは思っていても、それ以上の存在としては認識してなかった。筈だった。
「ダイゴくん?」
 一瞬どこかへ飛んでいた意識がナマエの声で戻ってくる。ダイゴはハッとして「おめでとう、良かったね」と返す。
 いつもなら彼女が笑っていると自分まで嬉しくなるのに、今のダイゴは胸が苦しく何故か泣いてしまいそうだった。
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