
◆
自分を不思議そうに見つめる彼女のその手に持っている花に目を向けた。
「・・アネモネか」
彼女の顔はパッと明るくなり笑顔が見えた。
「すごい!花の名前まで詳しいなんて、ソルジャーは知識や教養もないとなれないのね」
「たまたまだな」
思わずフッと笑ってしまった。
手際よく持っていたアネモネの花を他の花と一緒にブーケにするその様子を、セフィロスは見つめた。
「あ、良かったらお好きなお花でブーケ作りますよ!贈り物にいかがですか」
「残念ながら、その予定がないな」
意外だ、という顔をする彼女は嘘はつけない性格なのが見て覗えた。
「じゃあ・・はい!」
たった今リボンで結びあげたブーケをセフィロスへと差し出した。
「紫のアネモネ、あなたによく似合うから。よかったら今日のお礼です」
直接こうやって花を人から貰った事はあっただろうか。
受け取るとふんわりと花と葉の香りが掠める。
「ありがとう。女性から花を貰うのは初めてだな」
そう言うと彼女は笑った。
「意外!たくさんプレゼントとか貰ってそうなのに」
このブーケを作ることが出来る彼女らしい笑顔だ。
店を背にし、帰ろうとしたとき
後ろに控えていたソルジャー2ndの口元が何とも言えない緩みを見せていた。
「・・・社に戻ったらソルジャー全員集めろ。トレーニングを課す。」
ぎょっとした顔の2ndを見てセフィロスは気づかれないように笑いを零した。
◆
数日後の夜、セフィロスはもう一度あの花屋がある場所へと訪れた。
ちょうど、店仕舞いをしているところで彼女の姿もあった。
セフィロスの姿を見るとあの時と同じパッと明るい表情で声を掛けてきた。
「こんばんは、贈り物する相手が見つかった?」
急いで作りますよ、と言いながら彼女は近づいてきた。
「いや、この間のお礼を」
「え?」
「この後用事がなければ、食事でも。」
照れたように笑いながら彼女が言った。
「本当に意外な面をたくさん持ってるのね!英雄なのに、」
「英雄である前にひとりの男でもあるからな」
セフィロスは一歩歩みを進め、彼女の髪に着いていた花弁を取った。
「name・・」
彼女の首に小さな石とその文字が象られてるゴールドのネックレスがあった。
「私の名前。」
「星を意味するんだな」
「ソルジャーは語学にも詳しいのね!」
彼女はまた楽しそうに笑った。
◆