***

03

本日7月29日、海に行きます。
海に行くことになったのは昨日の朝のクラスのLINEグループきっかけである。
朝目が覚めて携帯を確認するとクラスのLINEグループの通知が来ていた。何かと思ってグループを開くと、〈いきなりだが明日クラスの親睦も含め海に行こうと思う。行けるものは個人で連絡をくれ〉と学級委員長の桂くんからのLINEだった。クラスの親睦と言っても1年から同じだなのにいるのか?と思おったが普通に楽しそうだなとも思った。それに、騒ぎ立てるのが好きなクラスなので参加する人も多いだろうなと考えていたらいきなり手元の携帯が震えだしたので画面を見ると神楽ちゃんからだった。慌てて電話に出ると、
「夏美ヅラのLINE見たアルか?」
とやはり桂くんのLINEの話だった。
『見たよ〜。』と返事を返すと
「私と姉御は行くアル!夏美も来るヨロシ!」
と神楽ちゃんからのお誘いもあったので私は、了承し桂くんに参加のLINEを送って今に至る。
集合は朝の10時に江戸駅前のロータリーである。
私は、時間に間に合うように準備をする。どうせ海についてから塗るだろうが一応日焼け止めを塗る化粧は海に入れば同じなのでほとんどすっぴん。髪は上の方でひとつに縛りポニーテールにし水色のシュシュをつける。服装は白い膝下丈のワンピースに青いカーディガン。靴はサンダルでいいだろう。茶色大きめのリュックに水着やタオル、財布、携帯などをつめ玄関を出る。江戸駅は少し遠いが余裕を持って出たので歩いて行こうと思い。江戸駅までの道を歩く。少し歩いたところで「おーい!夏美ーーー!!」と誰かに声をかけられたので振り向くと自転車に乗った神楽ちゃんがこちらに向かっていた。
『神楽ちゃん!おはよう!』と声をかけると「夏美後ろ乗るヨロシ!」と歯を見せながらニッコリと笑う神楽ちゃんに『ありがとう』と伝え後ろの荷台に座る。昔、神楽ちゃんに乗せてやると言われた時、女の子に乗せてもらうなんてと断ったのだがその後無理やり乗せられて私わ乗せたまま坂道を涼しい顔して駆け上がる神楽ちゃんを見てそう言えば神楽ちゃん力持ちだったと唖然とした記憶は少し古い記憶である。
こう考えている間にも神楽ちゃんはすごいスピードで江戸駅に向かう。夏なのにも関わらず涼しい風がヒューヒューと吹いてとても気持ちい。後でお礼に神楽ちゃんに海の家で何か買ってあげようと考えているともう江戸駅の駐輪所に着いたらしく自転車を止め神楽ちゃんと江戸駅のロータリーに向かった。
既にクラスメイトも数人集まっていた。その中に今回の主催者の桂くんがいたので『桂くんおはよう。お誘いありがとう。』と挨拶をすると「おはよう海野、来てくれて嬉しいぞ」と言われたので笑顔で頷いた。すると「夏美ちゃんおはよう!」とお妙ちゃんも来たのでお妙ちゃんと神楽ちゃんとお話しながら待ち時間を過ごした。
「よし、電車に乗るぞ」と言う桂くんの声で各自海までの切符を買う。ここから海は電車で行くならさほど遠くはない。切符を買い既に来ていた電車に乗り込む。「男子共、席は女子に譲るんだぞ」と桂くんは男子達に言っていて「ヅラはレディーファーストを知ってるアルな」と言いながら神楽ちゃんはズガッと席に座る。その隣に「ほんとね。」と言いながらお妙ちゃんもドンと座るので私もお妙ちゃんの隣に腰かけた。特にすることもなかったので携帯を見つめていると目の前に影が出来たので顔を上げると
「よォ。」と声がした。
目の前にいたのは沖田くんで私の席の頭上のつり革に片手をかけ挨拶されたので
『おはよう沖田くん。』と挨拶すると
「おぅ。」と手短な返事が返ってきた。
沖田くんをまじまじと見つめる。沖田くんは青いキャップに白いティシャツの上に黒い薄手のパーカー、膝下丈の茶色いパンツといった服装で男の子のお洒落はよく分からないが沖田くんは顔も整っているので何着てもカッコいいんだろうなと思った。なんだか沖田くんが着るとなんでもお洒落に見えそうだ。そういえば奥の方に見える土方くんもお洒落に見えるな。もう一度沖田くんを見てふと思った事を呟く。
『沖田くんの私服はじめてみた。』
休日に沖田くんに会ったのは初めて?あ、この間の祭りは会ったけど制服だったし、私服を見たのは、はじめてだった。
「俺もでィ。海野の私服初めて見やした。」
と返されたので確かに言われてみればそうだったな。
『休日、沖田くんに会うことなかったもんね。』
と答えると沖田くんは何故か少し考える素振りを見せた。えっ?今の考える事あった??と私も少し考えていると
「じゃあ今度どこか遊びに行きやせんか?」
沖田くんは少し俯きながら言った。思わず私は、『え?』と聞き返してしまった。沖田くんと遊びに行くのが嫌とかそういう事ではなくただ単純に驚いてしまった。すると「別に嫌なら構いやせんけど。」と少し悲しそうな声で言われたので私は慌てて訂正した。
『ごめん!別に嫌とかそんなんじゃなくて普通に驚いちゃって、そうだなーどこがいいかなー沖田くんは行きたい所ある?』と声をかけた。すると沖田くん驚いた顔をしてこちらを見る。なんか最近よく沖田くんに驚かれるな。とか呑気に考えていると
「どこがいいですかねィ。海野は行きたい所ないんですかィ?」と、逆に質問されすごく悩んでしまった。沖田くんと遊びに行く予定を立てているあいだにどうやら目的の海に着いたらしく、この話はまた今度する事になった。
駅から出て少し歩くと海が見えた。
「海アルーーー!!!!!!」と叫びながら神楽ちゃんは私の手を取りいきなり走り出したので慌てて私も足を動かす。
砂浜に辿り付いたところで
「わぁーーー!!綺麗アルな!」と神楽ちゃんが私に声をかけるので『うん。綺麗だね。』と私も同意した。後からゾロゾロとクラスメイト達が砂浜に来る。
「よし、あちらに更衣室がある。水着に着替える者はあちらで着替えるといい。」と桂くんは更衣室のある方に指を指した。「早く着替えて海に入るアル!」と神楽ちゃんはお妙ちゃんと、私の腕を引っ張り更衣室に走る。
更衣室で水着に着替える私の今年の水着は白いレースに所々小さな水色のリボンが施されているビキニだった。ビキニと言っても上はフリルでそこまで際どいわけではないし、下もフリルが付いており軽いスカート状になっているのでそこまで際どくはないはず。着替え終わった私は、とりあえず日焼け止めを塗る。
「夏美の水着可愛いヨ!」と神楽ちゃんが声をかけてくれた。そんな神楽ちゃんも赤いチャイ風のビキニ水着を着ておりこれま可愛かった。その隣のお妙ちゃんは黄色のワンピース型の水着を着ていてこれまた可愛い。ほんとに2人は何着てても可愛いな、とつくづく思った。その後日焼け止めを塗り終わり持ってきた防水のポシェットに日焼け止めと小銭入れを入れて更衣室を出た。
砂浜には男子達が場所取りした大きめなレジャーシートが引いておりそこに荷物を置いた。取られないか心配していると、「大丈夫だ、俺が荷物を見ておこう。」と桂くんが声をかけてくれた。
『でも、それじゃ桂くん遊べないんじゃ、』と心配になり聞くと「後で誰かに交代してもらうさ」と言われたので『私に言ってくれたらいつでも変わるからね』と言うと「そうか、それはありがたい。」と感謝された。
「夏美ーー!早く来るヨロシ!!!」
と海の方から神楽ちゃんが大きく手を振っていたので『今行くねー!』と声をかけ桂くんに手を振り海に向かって走った。海に足を付けると冷たくて気持ちよかった。するとバシャンと水しぶきが私の方に飛んできて飛んできた方を見るとニヤニヤとした神楽ちゃんがいた。お妙ちゃんはどうやら九ちゃんと遊んでいるらしい。私は、仕返しに神楽ちゃんに水をバシャンとかけた。すると「やったアルな!」と神楽ちゃんがやり返してくるのでまたやり返す。そのまま神楽ちゃんと水の掛け合いに没頭してしまった。しばらくすると神楽ちゃんが「お腹空いたネ」と呟やいたので『朝の自転車のお礼に何か買うよ?』と言えば「ほんとアルか!!!!」とかなりよろこんでくれた。そのまま海の家に行くとお妙ちゃんと九ちゃんがいた。
神楽ちゃんに「私焼きそばがいいアル!」と言われたので。『焼そば1つ』と注文しお金を渡し焼そばを受け取った。『はい神楽ちゃん』と焼そばをあげると「ありがとうアル!」と言って「私姉御の所で食べるけど夏美はどうすヨ」と言われたので『私は、何か食べるもの買って桂くんと荷物の見張り変わってくるね』と伝えると「そうアルかー、わかったヨ。」と少し残念そうにお妙ちゃん達の方に歩いていった。神楽ちゃんを見送り私は、海の家のメニューを見つめる。かき氷いいな、この間のお祭りで食べなかったし、と思いかき氷にする事にしたがイチゴにするかブルーハワイにするかでかなり迷っていた。うーん、うーんと悩んでいると
「何と何で悩んでるんですかィ?」
と後から声をかけられた。
『おぉ、沖田くん』いきなり声をかけられたのでどもってしまった。そんな私を見て沖田くんはクククと笑う。沖田くんも水着に着替えたようだった。沖田くんの水着は青色で左下にいつもの学ランの下に着ているTシャツと同じ柄が書いてあった。
「で、何で悩んでるんですかィ?」ともう一度聞かれたので
『イチゴかブルーハワイで迷ってて』と答える。
「じゃあ海野はイチゴ買いなせェ。俺はブルーハワイ買うから、半分こしやしょう。」
と提案され『いいの?』と聞くと「構いやせん。」と言われたので『ありがとう!!』とお礼を言う。
そのままかき氷を購入し沖田くんと荷物の置いてある砂浜に向かう。桂くんに声をかけ荷物の見張り番を変わる。そのままレジャーシートに腰を下ろすと沖田くんも私の左隣に腰を下ろした。
『かき氷おいしいねー。』と声をかけると「そうですねィ。」と沖田くんも笑ってくれたので何だか嬉しくなった。そういえば半分こするんだったと思い私は、スプーンでイチゴのかき氷をすくい沖田くんの口元に持っていく。すると沖田くんはイチゴのかき氷が乗ったスプーンと私の顔を交互に見る。私は、疑問に思いつつもかき氷が溶けてしまいそうだったので『はい、あーん』と早く食べるように進めた。すると沖田くんも「あっ、あーん...?」と食べてくれたので良しとする。すると沖田くんはブルーハワイのかき氷をスプーンですくい私の口元まで持ってきて「ん、」と食べさせようとしてくれたので『ありがとう』とお礼を言ってブルーハワイを口に含む。イチゴの甘いかき氷とは違った爽やかな味がして思わず『んー。』と言いながら味わった。そんな私を見て沖田くんは、ハハと口を開けて笑うので『沖田くん舌、紫になってるよ。』と笑うと「海野も紫ですぜィ。」と舌をべーっとされたので私もべーっとやり返し笑った。


ブルーハワイは青春の味

前へ次へ