「おはようございます桜木姐さん」
「あら、おはよぉ」
私の朝はまず全ての姐さん達に挨拶をすることで始まる、
はずだった────……
「名前!!名前はおるかい」
「はい!ここにおります!」
「緊急事態になりおった……」
「なにがあったんですか?」
「今夜、うちを真選組が貸しきることになった」
「し、真選組が、ですか?」
「そうだ。飲んで寝るだけで済めばいいのだが……」
おとっつぁんに呼ばれ、なにやらアノ真選組が今夜この凪渠屋が貸しきるらしい。真選組の人が来るのはそう珍しいものでもないけど『貸しきる』となると話しは別になる。なんせ他の店とは格が違う凪渠屋だからだ。
「そこで名前に頼みがあるのだが……」
「頼み、ですか?」
「あぁ、ここには駐車場なんて便利なもんがなければ夜になったらタクシーなんて通れやしない」
「はぁ……」
「かといって幕府のお役人さんをただ歩かせてこちらに来てもらうのは癪だろう……」
「まぁ……それは……」
別に歩かせてもなんの問題もないと思うが、ここは話を合わせておいたほうが身のため。
「おぉ、お前もそうおもうか!やっぱり名前に頼むと決めて良かった」
「で、なんなんですか?頼みって」
「名前には屯所まで真選組の皆様を迎えに行ってもらいたいのだよ」
「へぇ……」
「………」
「………」