「トシぃーー」
俺が報告書の整理をしていると近藤さんが突然入ってきた。
「なんですか、近藤さん」
「今夜の宴会なんだが……」
「凪渠屋のやつですか」
「どうやら凪渠屋の娘が迎えにきてくれるらしい」
「……そうですか」
「大丈夫だからいいって言ったんだが凪渠屋のおやっさんがきかなくてな……」
「ま、別にいいんじゃないですかい。来てくれるんだし」
「夜道の独り歩きは危険なんだぞ!!トシ!」
「あっちも夜の商売だ。その辺は大丈夫だろ」
「それはそうだがなぁ……」
「素直に受けたらどうです?」
「……トシがそう言うならなぁ」
夜の女はあんまり好きじゃねぇ。というか根本的に女は苦手だ。すぐ泣きやがるし裏切る。
愛なんて信じねぇよ。
俺は。
俺は近藤さんのようにクラブなんかもいかねぇし(たまにお使いがあるけどな)、女にベタ惚れするなんてあり得ねぇ。きっと凪渠屋でも女は寄ってくるだろうが相手にしないつもりだ。酒は自分で注げばいいしな。
悪酔いしない程度に飲み。
普通に帰る。
それでいいじゃねぇか。
酒はうまいし料理もほどほどうまい凪渠屋を選んだのは俺だが(半ば無理矢理な)
別に遊女と夜を過ごしたいわけではない。頭でブツブツ言いながら近藤さんの出ていった部屋で作業を続ける。
酒が飲めることを励みにしながらもどんどんと時間は過ぎた─────……
つづく