無謀なお前を欲している(2)



「ジャァァァズ!!!」

どこからかシエンの声が聞こえる。
メガトロンに押さえつけられ、俺はもがくが抜け出せない。

(みっともないとこ見せちまったなぁ…)

「ギリステアーー!!」

腕にかすかな衝撃。
……センサーがおかしくなったようだ。
シエンがいる。腕には展開したギリステアが。

(思い出したのか?)

彼女は叫んだ。

「ジャジュを離しぇっ!」

(噛んだな)
スタースクリームが悶えてるぞ。
口元を押さえてビルをバシバシ殴るスタスク←
心なしかメガトロンの拘束が緩くなった気が…。
しかしハッとして叫ぶ。

『何やってんだシエン!戻れ!!』

アイツ等はディセプティコン。ここにいたらシエンが死ぬ。

「残念っ!もう来たも〜ん!!今から帰れって高所恐怖症の人に対するいじめだよ?!」

見ろ!この高さを!と言いながら、決して下を見ないシエン。
あぁ、恐いのに俺の為に必死に登ってきてくれたのか。足が震えてる。

『シエン…』

俺は嬉しく思いながらも、恐れる。
こんなことばかりしていたら、いつか戦いで優しいコイツが居なくなるんじゃないか。これからどうすんだバカ。
もっと言いたいことがあるのに、彼女の名前を呼ぶことしかできない。
そんな中メガトロンが喋りだした。サイバトロン語でも英語でもなく、日本語で。

『……虫けら。なぜ来た』
「虫けらじゃないです。神田幸縁。えっとアメリカだとシエンコウダって言います」

初めまして。
その言葉に、ビルをバシバシ殴っていたスタースクリームの手が止まる。

『虫けらの分際で、俺様のことを忘れたか』
「この世界に来たのは初めてです。…来たとしても覚えていないです」

はっきり答える彼女。
その瞬間、我慢できなかったのだろう。
スタースクリームが喋りだす。

『お前は幼い頃サイバトロン星にある数々の防衛システムをかいくぐり、突然現れた。…プライムの膝の上に』

驚くシエン。
俺はもっと驚いたんだぜ?と声に出さず思う。

『貴様はいつもオートボットや其処にいるスタースクリームにばかり懐いて!』

憤慨するメガトロン。

(つーかその言い方だと拗ねてるようにしか聞こえないぞ。ほら、シエンがキョトンとしている)

「じゃあ、」

ジャズを離してくれたら、抱っこされます。



──気がついたら地面が俺をお出迎えしてた。

(抱っこに負けた…)

踏まれていたために受けた傷が、地面に叩きつけられてさらに悪化。
その他いろいろ衝撃的なもののせいでブレインサーキットがスリープモードに強制移行した。

『だっ… こ…。』

(俺も、した…い…)
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