どんとむーびんぐ!(5)



「…くだりゃない?」
『あぁ、全くもって下らないな。』

自分の発言に対し、迷いなく断言される。
己の存在も下らないと言われたようで、思わず目線が下に向きそうになるとまた手が。既に力加減を覚えたのか、今度は顎クイをされる。

『動くな』

(はい!!微動だにしません!!)

また見つめ合う。
素直におしゃべり出来なくなりそうな某有名曲が聞こえた気がしたがほっといた。
じーっと見られた後、

『おどおどと怯えながら相手の様子を伺っているからお前は弱者に見られ、矮小な虫けらと同じ人間にすらそう認識されるのだ』
「うっ……はい」

お説教が始まった。

『お前が貧弱なことと、我々に危害を加える気も無いことは理解した』
「はい」

人間はみんなこんな感じだよ〜。考え方は別だけどね。などとボケッとしていたら。

『だがお前ら人間、虫けらと同じ思考など、許さない。理解しない。』
「…?」

何が言いたいんだろう?

『お前を飼育する』
『『「え?!」』』
『下らない生き方そのものを、俺様自ら変えてやろう。二度とお前の周りの矮小ないらん存在に、屈することがないようにな』
「えっと…あ、ありがとうございます?おじちゃん」
『我の名はメガトロンだ。まだおじちゃんではない』
「ありがとうございます!メガトロンしゃん!」
『ふん。礼儀は欠けていないようだな』

(なんか気に入られた?)

とりあえずこれからメガトロンにお世話されることになりそうな幸縁。だったが。

『失礼ながら、もう少し思慮深い判断をお願いしたいですね。お二方』
『『ラチェット……!!』』
『得体のしれない未知の対象を易々と受け入れることは、そのままオートボット、ディセプティコン、そしてサイバトロン星に悪影響を与えるとワタシは考えますがね』
『カイボウ!カイボウ!』
『『………』』

抑揚のない音声で一気に場の雰囲気が変わる。
第三者目線でラチェット(また声若い。まだ昔のラチェットに名前聞いてないけど多分ラチェット)が冷静に意見を述べたことで、幸縁は自分の身の安全が遠のいた。遠のいたわけだが…。

「……」
(オカンがいる!)

別のところに思考を持っていかれてるようで、気にしていないようだ。

『残念だろうが君についていろいろ不明確なことが多々存在する』
「そう、だね」

話しかけてきたのだろうか?思わず疑ってしまう。
嘲笑も同情も、不満や怒りすらかけらも含まない、淡々とした声色はデパートの録音アナウンスより無機質な感じがする。
それくらい目の前の生命体が"個"を主張しないことにショックを受けた。
本当に、あのラチェットなんだろうか。映画でのユニークさはどこにいった。

(つまらん)

「じゃあ…身体測定とか、健康診断をしよう!!」

解剖は嫌だけどそれなら納得するだろう!と言い放つ幸縁。

『『『『??』』』』
「えっ?みんなしないの?健康診断…」

(なんか一斉に首を傾げられると困るんだけど…)

『なんだそれは』
『クワシク!』

意外にも話題に乗ってきたのはメガトロンとドクター。
オプとラチェットは聴きに徹するようだ。

「じゃあ…第1回!人間の文化を知ろう〜っ!病気編!」

ドンドンドンパフパフ〜と小さい手で拍手しながら口で言うとドクターも乗ってくれて嬉しくなる。
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