
どんとむーびんぐ!(9)
『…まぁ、キューブの力が使えないなら、自力で出ることは不可能だな』
時間はある。
「?」
『お前、暇だって言ったよな?』
「うんっ!」
『じゃあ、なんかやれ』
(な、なんですと!?)
「にゃっ…なにかって?」
『何でもいいぜ?』
(俺らのデータに無い未知のニンゲン。どうやって情報を引き出すか…)
「"今日の晩ご飯何がいい?""何でもいい"が一番困るんだよ?」
『バン…なんだって?』
「あ゛ー、選択肢が多しゅぎるってことでしゅ!」
(銀河級に広いよトランスフォーマーの"何でもいい"わ!後は…)
「歌、かな」
「ウタ?とは何だ。兵器の一種か」
「何それ危険!!ジャイ●ンか!…えっと、歌は音楽の一つです。歌はリズムをつけた歌詞を連続発生する娯楽、芸術で、普通は肉声で行います。肉声を使う行為を"歌唱"、行為者を"歌手"と呼びます!歌の条件は…」
など、音楽の定義や国歌、ジャンルを教えた。
(ウィキ先生流石です!…なんか知識がスッと出てくるようになったね)
『…』
「…?」
『歌えよ』
「!?」
結構話をしたから気も紛れたし、もうしばらくはオプ達を落ち着いて待ってられる。
そう思ってたらまさかのリクエスト。
(いやいや恥ずかしいし。カラオケでもいつも三番目くらいに歌い出したりする人だからね私!)
『俺もおまえ一匹に付き合わされて暇なんだ。歌えよ』
「‥」
暇つぶしくらいにはなれよと言われ、ムカッときた。
確かに私も暇つぶしに話を聞いてもらったけど、今の言い方はあまりにも…。
「やだ」
『?!』
ガチャリと音を鳴らして固まる彼。
断られると思っていなかったんだろう。すぐさま噛みつくように命令された。
『矮小で脆い生き物の分際で刃向かうのか!!』
「そんな生き物でも自由はありますし、あなたの部下じゃないのに命令を聞く義務はありません」
「何を莫迦なことを」
「私のような"矮小で脆い愚かで原始的な生き物"の言ってることが理解できないあなたのほうが馬鹿じゃないんですか?」
『テメエッ!』
『なにをしている』
『!!』
「メガトロンしゃん!」
いつの間にか電磁牢の入り口に立っているメガトロン。後ろの方にはオプたちも。
「おきゃえりなしゃい!」
『……あぁ』
『!?』
返事してくれた!
嬉しくなりニコニコしていると、メガトロンの目線が外れ、監視役のトランスフォーマーに向かう。
『下がれ』
「あれ?もう帰っちゃうの?」
『詳細は通信する』
『…はい、了解しました』
「えっ?待って!にいにー!お名前教えてー!」
監視役のトランスフォーマーは此方をちらりと振り向いたが、そのまま牢屋から出て姿を消した。
「あう…振られた。でもどうしたの?なんであのお兄ちゃん出てったにょ?」
『質問に答えろ』
「いいけど…部下じゃないのに命令されるの、何かやだ」
言い終わる前に、メガトロンの足が幸縁に振り下ろされた。