危うい育児(3)



『許すと思うか?』
「ですよねー!」

メガトロンからごもっともな答えが返ってきた。
それでも私は諦める気はなかった。だって諦めたら。

「でも、力を理解しておかないと」

みんなを守れないから。

『やけに食い下がるではないか。一体何を企んでいる?』
「企むというか…今日の講義で理解したのは、オールスパークから生命は生まれるってことと、私はその力があるっていうこと」
『…』
「でも人間が…人間に限らず、生命が生まれる、産むってことは大変で、すごくって、尊いことなんだ」

生命誕生の尊さ。
それは金属生命体も人間も、変わることのない唯一の事象。
だからこそ。

「どきゅ…ドクターを甦らせられた時、嬉しかった。死んでほしくなかったから。でも後から怖くなって」
『それは貴様が爆発と黒煙に巻き込まれたせいか?それとも我々に危害を加えられそうになったからか?』

首を横に何度も振る。
確かに怖くなったが、気づいた恐怖はそんなことよりも、もっと。

「死んだ。甦らせた。命ってそんな単純なものじゃないんだ。大切なものなんだ!!なのに!簡単に、望んだだけで出来てしまった」

彼等の生命誕生のプロセスを、意志を無視しているように感じたのだ。
映画で見た、アイツ等のように。

「ちゃんと力を理解したいんです。暴走して、みんなを危険な目にも、蔑ろにもしたくないから」

みんなが大切だから、彼等と、その生命を大切にしたいんだ。

「だから、」
『許可できん』
「そんなっ…」

しかし、にべもなく願いは却下された。

『今はな』
「え…!?」

俯いたその上から聞こえた言葉に、思わず二度見した。
メガトロンは、そんな私の様子を見下ろすと、どこかに通信をしたようだった。

『スケジュールが押している』
「…ごめんなさい」
『お前が力を理解したいなら、まず我々を、サイバトロン星を理解しろ』
「はい」

そう言いメガトロンは部屋から出て行こうとするが、扉の前で歩みを止めた。

『…シエン』
「え、はっはい!」
『実地学習を行う。これから貴様を預ける奴から学べ』
「分かりました!ありがとうございます!」

返事を聞いた後すぐ、メガトロンは部屋を出ていった。

「…誰が来るんだろう」

アイアンハイドかな、ジャズかな。
ラチェットはリペアしているから私は別室にいるわけだし…。
考えていると突然扉が開く。
楽しみだなぁと思いつつそちらに目をやった。

『…』
「…」
(どちら様ですか!?)

「…」
『…』

見つめ合う二人。
幸縁は困っていた。
(誰なんだこのトランスフォーマーは)

プロトフォームでも、それぞれ体格など多少の違いはあるのだが、すぐさま人物を特定できるわけではない。
声も重要な判断材料なのだ。
が、しかし。部屋に来てから、このトランスフォーマーは一度も声を発していないため、誰だか分からないのだ。

「…(むむむ)」
『…』

よって、目視で判別しようと、幸縁はそのトランスフォーマーをガン見したのである。
ちなみに変形機能を持っていないトランスフォーマーを、セイバートロニアンという。
本当は顔を見れれば早いのだが、今の幸縁の身長では、かがんでくれないと顔まで目線が届かないのだ。

『…お前がコウダシエンか?』
「え?あっはい」
『閣下からの命で、お前の学習を監督することになった。移動するぞ』
「かっか?」
『…メガトロン様だ』
「なーる(ほど)」
『?』

だが私は行かんぞ。

「危ないから知らないひとに付いて行ったらいけないんだよ?」
『…ヒトでは無いが』

ごもっともである。

「お兄さんのお名前は?」
『俺の名前はブラックアウトだ』
「うあっくなうと」
『ブラックアウトだ』

にぃにが来たよ!
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