
危うい育児(4)
あれからブラックアウトの手に乗せられ、幸縁の足では何時間も掛かりそうな通路を移動。
目的地までブラックアウトの手の中から外を見て過ごした。
指の隙間からちらちらと辺りの光景を覗くのが、なんだか新鮮で楽しい。
『着いたぞ』
「此処はどこ?」
『俺の部屋だ』
「な、なんと!?」
ブラックアウトの部屋!?緊張する!とか考えているうちに扉が開き、部屋の中に入っていた。
部屋の中には大きなソファと思われる家具や、整理整頓された電子端末と。
『オウ!キタカ!』
小さいトランスフォーマーがいた。
『何故居るフレンジー。サウンドウェーブとバリケードはどうした』
『コマケェコトハイインダヨ!』
『…』
「フレんジー?」
『ン?ナンダオマエ?』
「シエンです!はじめまして!」
『閣下から、留守の間丁重に扱うように指示された』
「どうぞよろしくお願いしましゅ」
『フーン…』
ジロジロと見られたが此方もじっと見つめ返す。
(生フレンジーだ!!)
『マァ、ヨロシクシテヤルヨ』
「やったぁ!」
『トリアエズオリテコイヨ』
「うん!ぶらっきゅなうとさん、下ろしてくだしゃい」
『ハハハッ!セイカクナハッセイガデキテナイゾ!』
『キュー』
『うるさいぞ』
「え?」
『ア゙』
『ち、違うぞスコルポノック!』
『キュー…』
フレンジーの背後にある物陰から聞こえた電子音に振り向く。
連なった鋼のボディパーツが動きに合わせてきらきらと蒼白く輝く。
鋭い棘を揺らしながらサソリを模した小型トランスフォーマーがこちらに近づいてきた。
(どこか申しわけなさそうなのは気のせい?)
「すごぉい…」
『…!』
スコルポノックは両手のハサミを上下させて何かをアピールしてきたが、幸縁にはその意図が分からなかった。
「すこ…ポ、」
『スコルポノックナ』
「しゅ、すのぽっこ…言えないぃ〜」
『スノポッコwww』
『ス、スコル…ブフッwwww』
ろれつが回らない幸縁。
名前を間違われ二人に笑われたスコルポノックは怒ったように激しく動く。
「ごめんなさい、ス…スコちゃん」
『キュ!?』
「上手く喋れない…スコちゃんって呼んでもいい?」
彼に謝罪し、愛称をすぐに決めた幸縁は提案した。
ガシャンと動きが止まるスコルポノック。
「……」
「あぅ…だめなのかな?」
『許可しよう』
「何で黒にぃにが許可を出すの?」
『…スコルポノックハ、ブラックアウトノドローンダ(クロニィニッテナンダ?)』
「ドローン?」
『簡単に言うと俺はスコルポノックの直属の上司だ』
『ツイデニ過保護ダ』
「そ、そうなんだ…仲良しなんだね!よろしくスコちゃん」
反応に困っていたらしい彼はブラックアウトに判断を仰いだ後、首を縦に振った。