
Sea side(3)
更衣室に向かって走っているとどこからか名前を呼ばれる。
「シエン!こっちよ!」
「カーリー!」
あぁ女神様!と叫んで彼女の元へ駆け寄る。
「ずっと具合悪かったの?走って大丈夫?」
「待たせてごめんなさい、具合はもう大丈夫!でもさっきね…」
遅くなった事情、つまり先ほどのやり取りを説明する。
「生まれて初めてナンパされちゃったよ」
肩の手外れなくて怖かった〜と、ぼやくとカーリーは心配そうに見つめた後、「逃げて正解ね。幸縁はかわいいし、穏やかな雰囲気で話しかけやすいもの!人の話をきちんと聞いてくれるし…でも変な男はたくさんいるから親切に話を聞くのも気をつけないと!お互いね?」と、ウィンクした。
「カーリーのほうが心配だよ!美人だし優しいし!…あ、でも大人な対応っていうか、簡単にあしらえそう」
「そうね…サムにしか惹かれないし」
「ノロケあざーす!」
(砂浜が白いのはこうしてノロケを聞いて砂を吐いてしまった戦友達の歴史なのね…)
遠い目をして、今この場にいない彼氏を思う美人な友人から視線を外す。
相手が聞いたらテンション上がるぞこりゃぁなど想像していると。
噂をすれば影。サムがやってきた。
幸縁がニヤニヤして手招きすると、怪訝な顔をしながら近寄ってくる。
「この幸せ者め〜」
「なんの話?」
「カーリーがどれだけサムに惚れてるかの話」
「シエン!」
彼女は顔を赤らめて言葉を遮ろうとするが、バッチリしっかりサムに聞こえたようだ。
「カーリー…」
彼女と同じくらい顔を赤らめている。
「見てるこっちが照れくさいわ!」
言いながら幸縁は地面に置いた荷物をかき集めると「着替えてきますお幸せに!!」と万感の思いを込めて叫び、更衣室に避難した。
(ピンク色した空気に、もう我慢できんかった!)