宇宙旅行はうたた寝のうちに(2)
よだれを垂らしてそれを見る万太郎。
「おいしそうだねぁ〜みんなあ〜!ボクもカルビ丼を…バクバクバク」
「そんなことに対抗意識を燃やさないでください!」
「あはははh」
ぐうぅ〜
「ん?何だ今の音は?」
「……あ!ごめんサキさん!ボクがご飯を砂まみれにしちゃたから」
「い、いや…こちらこそごめんね。慎みの無いお腹で」
沙希のお腹の音だった。
彼女はコンビニ弁当を万太郎の乗っていた宇宙船によって砂まみれにされたため、何も食べていないのだ。
「よ、よかったらボクのケーキ食べますか?」
「え?」
「カレーのほうが腹持ちがいいんじゃないか?」
「よかったら果物食べます?」
「あ、いや…」
「もぉおおう!サキさんには怪我させたお詫びに母上のカルビ丼を食べてもらうって約束してんの!」
「え?」
「そうなのかい?」
「えーと…(そうだったっけ?)」
ムムム〜と此方を見る万太郎。
「そうだったっけ!?ごめん万太郎君。よろしくお願いします」
「ホッ…」
よく分からないが、彼が奢ってくれるのであればお言葉に甘えよう。
「今日は大変だったようですね」
「え?」
「俺の名はガゼルマン。よろしくサキさん」
「あ、はい…よろしくお願いします」
「言っておくが、俺は女の子にモテる」
「自分で言うなぁああ!」
自分がモテる発言をなぜか万太郎に向かって言ったガゼルマン。その発言にキレる万太郎だが、沙希はそれより気になってることがあった。
(ズボン、いやせめてパンツ穿いてよ)
先程のブラッド・キラーと万太郎・ミートは人類タイプ(宇宙人)の超人。
超人を初めて見たサキはひとしきり辺りを見回すが、動物のような見た目はセイウチンと彼くらいである。
「男だらけのむさ苦しい中に貴女のような華があるのはとても癒される」
「あ、ありがとうございます…お上手ですね(パンツ穿いて)」
キザな言動と周りの超人たちの喧騒にだんだん疲労が込み上げて来た彼女。
「万太郎君」
「どうしたのサキさん」
「あの…ちょっと疲れちゃったから、この船が目的地に着くまで寝ててもいいかな?」
「うん。いいと思うよ」
「ごめんね。皆話かけてくれてるのに」
「「「いえいえ」」」
「万太郎君もミート君も疲れてるのに…」
「いやいや!ボクちゃんまだまだ元気だから!ゆっくり休んで!ね?」
「う、ん…」
「おやすみなさいサキさん」
「…」
この部屋に唯一あるベンチを沙希が占領して寝ても、彼らは何も言わなかった。皆心根が優しい超人達だ。
だから地球のために悪行超人との戦いに志願したのだろう。
着々と目的地へ向かう宇宙船。
そんな中、一人会話に参加せず離れた場所で座っている人物がいた。
「おいそこのお前!居眠りしとる奴!まだ自己紹介しとらんぞ!」
「やれやれ…キン肉マンも自己中心型と聞いていたが、息子も輪をかけてナンバーワン気取りだな」
「な、何ぃ…!」
「俺のパパなら、ここで素直に挨拶するんだろうが」
「え?パパって」
「パパはレスリング技術だって頭脳だって、宇宙一と評判の超人だった」
俯いて表情の窺えない彼はゆっくりと立ち上がった。その声には恨みがこもっているように聞こえる。
「でも天下を取れなかったのは、他人にすぐ手柄を譲ってしまう奥ゆかしい性格が原因だ。だからいつも二番手で、キン肉マンの背中ばかり見てきたんだ!」
拳を握り締め思いを語る彼が羽織っていた布と帽子を取ると、そこには、ある
「パパはキン肉マンを盛り立てるために必死に戦い…血を流してきたんだ!」
「そ、それじゃあ貴方はテリーマンの息子!」
「あぁ、だが俺はパパとは違う!いいか!キン肉万太郎!お前の背中なんて絶対に見ない!」