一人舞台の上でも二人、三人(2)


「万太郎君!?」
「うぐぅ…っ」
「二世!なんで手を離したりなんか」
「な、何かが腕に」

彼の右腕にめり込んでいたのはピーナッツだった。

「ピーナッツなんて誰が、あっ!」
「キッド!まさかお前…」
「なっ!?俺じゃない!」

宇宙船でピーナッツの袋を所持し食べていたのは、今いる訓練生の中では一人。キッドしかいない。
疑いの視線がキッドへと向けられた。

「落ち着いて皆。万太郎君も」
「サキさん!だって!」
「キッド君とは一緒に万太郎君の練習を見ていたし、すぐ横にはサムゥ君がいた。二人とも何も食べていなかったのは、私この目で見ていたよ」
「あぁ。確かにそうだった」
「そ、そうなの?…ごめんキッド。疑っちゃって」
「!」
「また意地悪、されたのかと思って…そ、その…」
「いや……俺も、悪かった。まぁお前の成績じゃ勝手に落ちるだろうしな」
「コラァ!」
「はいはい。じゃれあいはそこまでにして」
「いったい誰がこんなことを…」

彼女とサムゥの証言でキッドの疑いは晴れた。ロビンマスクも含めた犯人探しが始まろうとする中。

「それよりまず、医務室へ行ったほうがいいよ」
「あ、ありがとうスペシャルマンJr」

怪我をしている彼に肩を貸したスペシャルマンJr。
医務室へと向かうと聞き、沙希も付き添おうと万太郎の傍らに駆け寄るが、行き先がおかしい。

「スペシャルマンJr、医務室は校舎の中だ。そっちにはリングしか無いぞ」
「ど、どうしたのスペシャルマンJr?」
「ヒェーッヒェッヒェッヒェッ!正義超人はチェックが甘いな」
「え?」
「お前!万太郎君から離れろっ!」

沙希が咄嗟に痛む右手でスペシャルマンJrの顔面を殴ると、彼の顔の皮膚はボロボロと崩れ去り、全身へと至る。

「うわああああああ!」
「ぎゃぁああ顔がぁあ!?」

全貌が見えた頃にはまったく異なる姿の超人がそこにはいた。

「お前は!?」
「誰だ!」
「悪行超人アナコンダが、お前の命を頂戴しに来たぜ。キン肉万太郎」

悪行超人アナコンダである。
部分的に機械で覆われている下半身がその名の通り、蛇のように長い。
その下半身が万太郎と隣にいた沙希を拘束する。
「うわぁっ!」
「万太郎!サキさん!」
「悪行超人がどうしてここに!」
「お前らの考えることなんてお見通しなんだよ」

H・Fヘラクレス・ファクトリーで鍛え、強くなられては困る。
そう言い少し離れた場所にあったリングへと飛び上がり移動したアナコンダは、マットの上に二人を叩き付けるとリングの支柱にあったスイッチを押した。

「そ、そのスイッチは!」

焦るロビンマスク。
四方、そして上からも侵入できないように金網がせり出しリングを囲んだ。
これはデスマッチリング。対戦相手のどちらかが倒れるまで出ることはできないのだ。

「これじゃあ救出できないぜ!?」

手出しのできない訓練生やロビンマスク等伝説超人レジェンド達。その様子を嘲笑した後、アナコンダは二人へと向き直り。

「なにその劇的ビフォーアフターは!何処に身体収納してたのさ!すごくね!?」
「…アンタ余裕そうだな。オーバーボディを知らねぇのか?」

脱力した。