一人舞台の上でも二人、三人(5)


「俺は、間違っていた!」

凝り固まっていた過ちを認め、改め。キッドは傷ついた足に力を入れ立つ。
今の彼は、見るべき道が見えていた。

「ぎゃあああ痛い苦しいやばいよ帰りたいよー!」
「万太郎君!さっきまでの威勢は一体何処に行った!?」
「間違った!調子乗った!」
「諦めんじゃねえ!もっと熱くなれよ!!」
「沙希さんこそどっからその元気出てくるの!?」
「知るかあああもう外れないぃいいい!」
「ぐぁあああ!」

締め付けられて悲鳴を上げる万太郎を助けようと、折れた腕など構わずに機械でできた尻尾の部分に沙希はしがみついた。
引き離そうと力を入れてはいたが、人間一人の力ではどうしようもなく。
万太郎の悲鳴をBGMに試合は決着へと向かっていた。

「おい!この蛇野郎!!」
「あ゛ぁ?」
「俺と戦うのが怖くて対戦を拒否したな!」
「なんだと!」
「かかって来い!お前なんか片手で十分だ!」
「キッド君!?」

金網越しから相手の気を引き付けてどうしようというのか。
金網は頑丈で、伝説超人レジェンドの力でもそう簡単に壊せるものではない。
キッドはピーナッツを数粒口に含むと、金網の隙間からアナコンダ目掛けて飛ばす。
すさまじい肺活量でもって飛ぶピーナッツは、機械で覆われたアナコンダの下腹部から胸までをへこませる。
アナコンダが悲鳴をあげ怯んだ隙に、万太郎は拘束から逃れ、沙希は離れた。

「万太郎!その窪みを駆け上がれ!」
「キッド…」
「後は、頼んだぞ!」

二人の視線が交わる。

「…あぁ!」

それ以外に言葉は要らない。
万太郎は窪みを足がかりに駆け上がり、相手の首に腕をかけ、勢いよく倒す。
尾の部分を掴んで足の代わりとしたキン肉バスターが決まる。

「やったぁ〜…ぁ?!」

万太郎は、相手の胴体と掴んでいた尾を粉砕した。
沙希の目の前で、アナコンダの胴体と下半身が数本のコードを残し二つに分かれ、破片が当たる。
相手の状態を認識したところで、彼女は意識を失った。