未染められし者(5)


その後仲良く話したりブランコ漕いだりひとしきり遊んだ二人。

「というか、今日の寝床どうしよう」
「死活問題だね」
「うん」

沙希は本日の寝床を探していた。

「女の子が外で寝るなんて危ないよ。ボクが乗ってきた宇宙船に来たら?」
「いい案だね。でも、宇宙船小さいし一人用じゃないかな?」
「あ、そうだった」
「「う〜ん…」」
「ねぇ、サキさん」
「はい?」
「あの小屋って何?中見た?」
「小屋?……あ!?」

沙希は万太郎が指差した小屋の外観を見て思い出した。
ここは美波理公園。以前キン肉マンが地球に落ちてから住んでいた公園で、あの小屋は。

(キン肉ハウス…っ!!本物だ!すっげー!!)

「サキさん?」
「ハッ!?あ、あぁごめん。見て無いよ」
「中に住んでる人いるかなぁ?」
「行ってみようか?」
「うん!」

キン肉ハウスは明かりが点いておらず、何年も人が出入りした形跡が無かった。
厚く積もった埃を指でなぞりながら沙希は辺りを見回した。

「うぇ〜、きったない部屋」
「う、うん。人いないのかな?」
「かもねぇ…あれ?これなんだろう?」
「何だろう?箱?」

狭い部屋の片隅に、内装にそぐわない物体が鎮座していた。

「ま、万太郎君。勝手に触ったら部屋の持ち主に怒られちゃうかもよ?」
「え〜……って、うわぁああ!!」
「うわっ!?」

沙希の忠告も聞かずに、箱と思われる物体を触っていた万太郎は、その物体のスイッチを押してしまった。
蓋が開き、中から発光する人が出てきたのを見て万太郎は、怯えて沙希にぶつかってしまい、二人とも床に転げた。

「うわぁぁああごめんなさぁい南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏ぅ!」
「ちょっ、万太郎君!重い!」
「ぎゃああああああああ!」
「ぐぇ…万太郎君、ちょっ、マジ退いて…」

光が納まると、そこには小柄な少年が立っていた。

「はじめまして。私はミート。アレキサンドリア・ミートです」
「は、はじめまして?ご丁寧にどうも。私は此方沙希です。こんな格好で失礼」
「はぁ?サキさん!挨拶してる場合じゃ」
「貴方はどなたですか?」
「ボ、ボク?ボクはキン肉万太郎だよ?」

幽霊かと思っていた発光体が人と分かった沙希と万太郎はとりあえず自己紹介する。
ミートと名乗った少年は、何故か二人の名前を聞いた途端驚いた顔をした。

「コナタサキにキン肉マン、太郎?キン肉マン・タロウ!?」
「違うよ。ボクはキン肉マン・タロウじゃなくてキン肉・万太郎だからね。変なところで切らないでね?」
「顔をよく見せて!」
「ぅわ!?」
「マスクは頭髪の質形で違うが、そこから覗く澄み切った左右の瞳」
「そうだね。彼の目は綺麗だ」
「て、照れるなぁ」
「この豚と見間違う鼻とタラコのような分厚い唇…貴方のお父様のお名前は?」
「あぁ父上ね。キン肉星第58代大王、キン肉スグルだよ。昔はキン肉マンって呼ばれてたんだって」

興味なさげに鼻をほじりながら言った言葉に、ミートは感激し涙を流す。
彼は万太郎の父、キン肉マンとセコンドとして共に戦った仲間だった。
ミートは非常に優れた頭脳を持ち、地球の平和がいつまでも続くか危惧したため、一人この超人保存装置で眠っていたのだ。

「へぇ〜ってちょっと待てよ?君がここにいるということは…もしかしてこの星は」
「「地球に決まってるじゃありませんか/ない」」
「えぇーーーっ!」
「えぇーーっ!はこっちだよ。二人とも宇宙人とか聞いて無いよ!すごい!」
「正確には宇宙人で超じ」
「もうやだボクちゃんキン肉星に帰るぅううう!」
「え?」
「あぁ!?」

地球では現在、悪行超人が全国で破壊活動や一般人を殺害していたりと危険な状況なのである。
そのため、悪行超人を倒すために地球へ行けと言われていた万太郎は、怖じ気づいて逃げてしまった。