温い火に旋風(1)
数日の予定が週を跨いだ。キン肉マンは王子として、日々学びながら施政を行っている。
キン肉アタルは補佐役として、書類の手伝いや愚痴を聞いてやっていた。
「ふわぁ〜!忙しい忙しい!」
「落ち着けスグル。一つ一つ、優先順位をつけるんだ」
「おぉ!それからやっていくのじゃな!なら、これはこっちでしょ〜。まだこれもやらんくても大丈夫か…」
一生懸命に仕事をこなす弟を見守りながらも、彼は他の事に気を取られていた。
ザ・ニンジャのことだ。あれからスパーリングの時に顔を会わせる事はあるが、中々ゆっくりと話することができなかった。
(あの時の礼が言いたいのだが…)
「兄さん?兄さん!」
「ん?どうしたスグル」
「さっきから呼んでたんだけども…」
「すまない。少し考え事をしていた」
「あのぅ…今度、地球に行く事は可能だろうか?」
「仕事を終わらせれば可能だが。何か気になることがあるのか?」
「うむ。恩人に会いたいのじゃ」
「恩人?」
詳しく話を聞いてみたところ、超人オリンピックの頃から懇意にしているようで。
道端で空腹に呻いていたスグルを助け起こし、牛丼を奢り。王位継承までずっと応援し続けてくれていた方らしい。
「そうか。私も礼を言いたいな」
「なら一緒に行こう!家族を見つけたら紹介すると約束していたんだ!」
「あぁ」
「お主等、話の最中に悪いが追加だ」
「ゲェーーーッ!?」
「聞いていたぞ。なら、拙者も護衛として同行しよう」
「ニンジャ…考えすぎでは?」
「まぁ、お主等二人なら大丈夫だとは思うが念のためだ」
「スグル。お前はもう王なのだから、公式に訪問するなら地球上の各担当部署に連絡をし、護衛もつけなければイカンのだ」
「パパ!」
「もしお忍びなら、キン肉星の護衛を連れて歩くと目立つ。後、キン肉マンに仕事をサボられても困ると真弓殿が仰るのでな」
「うわーん手厳し〜!」
「ちゃんと仕事を終わらせたら、地球に行っていいぞ」
「やったあ!よぉし頑張るぞ!」
そうして、仕事に一区切りついた後。
彼等は日本へ向かう船に乗り、名前の父親である忠親と歓談した。
「よく来たなぁキン肉マン!元気にしてたか?」
「おぉ〜!お久しぶりです忠親さん!ワシは元気一杯牛丼百杯!忠親さんもお元気でしたか?」
「おうとも!」
「アレ?今日は名前ちゃんはおらんのか?」
「残念なことに仕事でな。キン肉マンも忙しい中時間作ってくれてありがとう」
「いやぁ〜!忠親と約束してたからのう」
「スグル」
「あぁ!忠親さん。ワシの兄さんじゃ」
「え?あぁ!!」
「知っているとは思うが、改めて自己紹介をさせて欲しい。キン肉アタルだ。スグルから話は伺っている。チャンピオンとして優勝する前から弟を助けてくれたと」
「いやぁ、特別なことは何も」
「忠親さんは恩人で、大切な友人じゃ!ちゃあんと家族を紹介したくてのう」
「ありがとう…よかったなぁ!キン肉マン!」
感極まりそうな忠親に焦る二人は、とりあえず彼が予約した店に入ることにした。