温い火に旋風(2)
お通しが出され、酒を頼んだら後は酔っ払い達の世界だ。お互いの近況を語り、二人からサインを貰った忠親は何時ものパターンに入った。
愛娘の自慢話である。
「名前はこーんなちっちゃい頃から、ひよこみたくいつも後ろを着いて来てな?今も目に入れても痛くないほどかわいいんだ!」
「スグルも生まれた頃の写真を見たが、とても可愛らしかった」
「おー!そうなのか!やっぱ赤ん坊の頃って可愛いよな!キン肉マンは今でも素直で良い奴さ!名前もそう言ってた!」
「名前ちゃんが?」
「あぁ!キン肉マンは一生懸命で好感が持てると最初から評価が高かったな」
「お優しい娘さんなのですね」
「へへっ…母親に似たのかな。人の良い面を見つけようとするんだ。名前は王位争奪戦の時、仕事で各チームの取材をしてて忙しくてな。でもチームの面子全員から直接話を聞いて綿密に記事を作るから。今ではあちこち引っ張りだこさ」
その話でアタルは思い出した。
自分が門前払いした女性記者の名字は名字。
忠親と同じだと言うことに。
「その節は、名前さんに大変申し訳ないことを」
「あ、あぁ!ソルジャーはアタルさんだったもんな!いいよいいよ、超人を取材するのは危険が伴うし、乱暴する奴もいるからな。名前もある程度覚悟して仕事している。ザ・ニンジャからはぐらかされつつも直接話を聞けたと教えられた時は心臓が飛び出るかと思ったが」
「!」
「まぁ、名前はザ・ニンジャ好きみたいだから?話が出来てとても喜んでいたけど……」
「えぇっ!?」
「なんじゃと!?」
「うわぁ〜!名前もいつかパパの元を離れていくのね〜!」
管を巻いて、またグダグダ言い募る忠親の相手をスグルに任せ。
一度アタルは手洗いに席を立った。
「…家族、か」
(ニンジャは、人の気持ちの機微が分かる男。ガッツがあり、困難を耐え凌ぎ、周囲を冷静に見ることができる)
「良いものだな」
トイレで一人、アタルは呟いた。
席に戻ると忠親は先程より落ち着いていたが、まだ娘の嫁入りについて語っていた。
「大丈夫ですか?」
「うぅ…名前〜」
「二人は親子仲が良いからのう」
「だろうな…」
少し考え、アタルは質問した。
「…娘さんの年は?」
「え?今年で22歳、だけど」
「そうか。私の知り合いの超人にちょうど同じような年齢の者がいる。彼ならきっと大丈夫だろう。二人をお見合いさせてみてはどうだ?」
「「「何ーーーっ!?」」」
「今、何か聞こえなかった?」
「気のせいだろう」
「アタルさん。本当に大丈夫か?受けるにしろ、断るにしろ、そいつは名前を傷付けたりしないか?」
「あぁ」
「…それならいい。だが俺の審査は厳しいぞ!相手には悪いが会うだけになるかもしれんな!」
「「「ははははは!」」」
その後あっという間に酔い潰れた忠親を背負うと、四人は店から出た。
「と、いうことだ。ニンジャ、見合いに出てくれ」
「…ソルジャー。冷静に、的確に、俺に納得のいくように説明しろ」
ふざけた物言いをすれば口から火を吹きそうな顔をしたザ・ニンジャが背後に立った。
キン肉マンは震え上がったが、アタルは口を開いた。