紙の叢雲(1)

王位争奪戦を終え、キン肉ハウスで集まり牛丼を食べた後。
キン肉マンソルジャーもといキン肉アタルは、今後の身の振り方を考えていた。

「浮かない顔だな」
「ザ・ニンジャ」
「何を一人で百面相している。キン肉マンが気にしておったぞ」
「あぁ、すまない…」

言い訳しようにも言葉が出てこない。
自分の漠然とした悩みをまとめられていないからだ。
彼が何か悩んでいることを察したニンジャは隣に腰を下ろし、ちゃぶ台にあった急須で彼に茶を入れてやった。
無言で茶を啜る二人。

「…家に」
「?」
「家に帰りたくない」

ニンジャは茶を噴き出しそうになるのを耐えた。

(ソルジャーが!戦いの中、冷静で的確な行動を取るこの男が!!)

「そういえばお主、出奔の身であったな」
「……後日、改めてスグルの王位継承式を執り行うことを知らされてな。式の後、故郷へと帰ることに決まった。俺は一度逃げ出した男。一体どの面下げて帰ればいい」
「ふむ…」

(確かにそれは気まずい。しかし、キン肉マンもアタル殿が出席しないとなると、まだ認められてないのかと落ち込むことは必至)

だが、それほど気に病むことはないと、ニンジャは考えていた。

「そうさなぁ…キン肉マンは仲間に声を掛けていたから、継承式の後に故郷まで着いていく者もおるだろう」
「…」
「しかし拙者は誰にも招待されておらぬ故、船内に忍び込むしかあるまい。どうだろうアタル殿。此処は一つ、式へ参るため口添えしてはくれないだろうか?」
「!」
「もし、貴殿の奮戦ぶりを見て嘲笑する輩が居ようものなら、拙者先陣を切って相手になる所存」

ニヤリと笑えば、固まるキン肉アタル。
なんとか彼が頷くと、それから二人はまた静かに茶を飲んだ。
多くを語りはしなかったが、先程より彼の雰囲気はマシになっていた。

結局、故郷にまで着いていく者がほとんどで。
宮殿で行われた宴会で酔ったバッファローマンがアタルに絡み酒し、他の血盟軍で止めるなど騒動があったが、明るく平和に式も終わった。
二日酔いを口実に故郷に残ることができ、彼の気晴らしに付き合うこともできたのだった。