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「さァ黙って観念しろ」
「バカめ!するかァ!おめェな……だいたい何であんな女助けてェのかわかんねーっ!おめェらあのニコ・ロビンの本性、実は知らねェんだろ!」
「""!"ジュー"!"ブーシュ"!"ダン"!"あごマントン"!」

サンジくんは畳みかけるように言葉通り、鼻とほっぺと口、歯、あごにそれぞれ目と同じように蹴りを入れていく。足を使うだけあってサンジくんの蹴りの威力は伊達じゃないから蹴られるたびに前の面影がなくなっていく。

「……これ以上何か言ったら骨格変えるぞ」
「ちょ……ちょっと待でっ!な、何か小顔になった!やめろ!お、教えてやるよ!みんな知ってるんだぞ!あいつは性根の腐った悪魔なんだ!!」
「"整形バラージュショット"!!」

サンジくんの足があいつに届く前に、巻き添えをくわないように走ってサンジくんのところにいく。私も骨格変えられちゃうからね。

「てめー!よくも!おれの自慢の目と歯をヘコませやがったな!鬼だ!てめェは!」
「おお戻ったじゃねェか」

サンジくんの技のおかげでなんだかキラキラした顔になって、だいぶマシになったのにワンゼは前の顔の方が好きみたいで不満だと文句を言ってきた。

「お前の罪は三つある。一つはおれの前で料理人を名乗った事。二つ、食い物を粗末にした事。三つ……おれ達の仲間を侮辱した事!」
「黙れ貴様ァーー!!おれの個性を返せーー!」
「お前の後ろのドアの向こうで仲間が助けを待ってんだ」
「通さんと言ったら通さーん!"ラーメン拳法"裏秘伝!"麺切り毒庖丁"!!触れたら死ぬぞー!さっさっさっさっ!おめェらだってよ!あの女に全員ダマされてんじゃねェの!?あいつは裏切って裏切って闇の世界を今日まで生きてきた最低の女だ!!」

なにさ。あいつに何がわかるんだ。どうせロビンと話した事なんてないのに。ロビンが何を考えてるのかなんて、なんにも知らないくせに。それなのにあたし達より知ったような口聞かないでよ。

「命を貰うぞー!ちょいやー!
「あ……」
「"三点切分デクパージュ "!!」

大きい音を立ててあいつの後ろにあったドアを破って後ろに飛んでったら、その向こうの車両にはいろんな気配がある。ロビンの気配はないけど、でもなんとなくあいつらがロビンに何かを言った奴らなんだってすぐに分かった。

前の車両に移ろうとしたら変な人ことフランキーが上から誰かと一緒に落ちてきた。今の一撃でだいぶこたえたみたい。それでもまだ起きあがってきたけど、前の車両にいたコートを着た奴が一方的に、逃げてるのにも関わらず追い討ちをかけて汽車の外に落とした。

「コイツらが正義の機関か……?」
「どっちが悪だかな……」
「結局はあんまり変わらないよ」

海兵にもあたし達海賊と同じような事をやってる奴らだっている。もちろん影でだけどね。あたしが海に出た頃によく見てきた。でもサイファーポールはまた別格だけどね、海兵とはちょっと違うしね、いろいろと。

「お前らの用は……聞くまでもねェか、侵入者。ドアの開け方を見る限りあまり気の長い質じゃなさそうだ……」
「ああ、育ちが悪ィもんで」
「……ニコ・ロビンの事なら諦めろ。お前たちが首を突っ込むには問題がデカすぎる。世の中には……死んだ方が人の為になるという不幸な星の下に生まれる人間もいるんだ……。例えば世界を焼き尽くす悪魔がいたとして、それを呼び起こす力を持っている者がわずか8歳の純粋な少女である場合……その少女は誰かの手で人々の為に殺しておくべきだと思わないか?」
「……何が言いてェ」
「それがニコ・ロビンという女の人生だと教えてるんだ。今となっては本物の犯罪者だが、始まりはたったそれだけの事だった。物心ついた時から自分の存在そのものが罪!自分が消える事でしか人を幸せにできない、そういう不幸を背負っているんだ」

また。こいつも知ったような事言う。何も知らないくせに。そうやって人の悪いところを見つけると、そういうところだけを見て他のところには目も向けないんだ。いい事したって、でもお前はってねじ伏せて潰しちゃうような人達なんだ。