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「そういうわけで……ロビンちゃんはそのCP9に何やら過去の根っこを掴まれちまってる。別に奪い返せなかった言い訳してェんじゃねェが、これから敵地へ乗り込んだからとロビンちゃんがおれ達に身を委ねてくれるかはわからねェ」
「んなもん関係あるかーーっ!!絶対許さんぞーーっ!!」
「うおーー!!」
「ロビンめーーっ!!」
「何でよ!」

おれ達が海列車に乗りこんでからの事を、主にロビンちゃんが頑なにおれ等を拒む理由を話すとルフィとそれからチョッパーが歯と怒りを剥き出しにして叫ぶ。

「そうじゃねェか!何でおれ達が助けに来るのイヤがるんだ!!」
「助けられた後のこの一味を心配して苦しんでんのよロビンは!」
「そんな事まで知らんっ!!放っといたらロビンは殺されるんだろうが!!死にてェわけねェんだから助けるんだ!!」
「それは勿論そうだけど……」
「やめとけ……やるべき事は変わらねェよ、助けるだけだ」
「なんもかんもブッ飛ばしてやる!!試してェ技もあんだ」

おれはあれこれ考えちまうがルフィみたいな、何も考えないで自分が思う事を貫く潔い奴が船長が良かったと改めて思う。直進しすぎて危なっかしいところがあるが、そんなのものともしないでほとんど切り開いてきたし、それにおれも助けられた事があるんだ。今回だってどんな奴らだろうと必ずロビンちゃんを助け出す。



それからエニエス・ロビーの地図を広げて簡単な説明と作戦を立てていると、これからおれ達が乗りこむエニエス・ロビーはすぐそこに迫ってた。その後ろに靄がかかった、正義の門と呼ばれる大きな門がある。ロビンちゃんにあの門を潜らせたらもうおしまいだと言う事だ。そんな説明を受けてるうちにルフィの奴が姿をくらました。まァ向かった場所は一つしかねェだろうし、あいつの事だから特に慌てる事もねェが。

約束の5分が経ってから島に乗りこむと、思ったよりも人数がいやがる。予定外のアクシデントがあったおかげででけェのをくたばらせる事ができたが。

「あ!あの二人は何者だァ!」
「……ああ、挨拶した方がよかったか?」
「バカバカしい……いるか!」
「おいあの剣士!知ってるぞ麦わらの手下の海賊狩りのゾロだ!」
「へっへっへ手下だってよ」
「じゃ名もねェお前はそれ以下じゃねェか、海賊A」
「カチーンあァ!?」

このクソまりもはいちいち人の怒りを買わねェと気が済まねェってのか!脳ミソにまで藻が生えてるから人の癇に障る事しか言えねェってのか!?

クソまりもに気を取られてる隙に海兵共がおれ達が乗ってたロケットマンに砲撃しやがった。中にはリリナちゃんもナミさんもいるってのに馬鹿みてェに発砲しやがって!

「"冷気泡クールボール"に"熱気泡ヒートボール"で大気の水分を雲にかえる……!リリナあんたはちょっと離れてなさい!」
「はーい」
「あ!ナミさんリリナちゃん脱出してたんだな!」

煙の中から出てきたナミさんとリリナちゃんに手を振る。2人ともかすり傷ついてないみたいで良かったぜ。

「さすがねパーフェクト"天候棒クリマ・タクト" 今までとは速度も大きさも段違い!さァ試させて貰うわよ!雷の威力!"サンダーボルト=テンポ"!!」

ナミさんに気を取られている隙に空から雷が落ちておれの身体中を貫いて。この凄まじい痺れ具合は、ナミさんに出会った時の衝撃と同じだ。バラティエでナミさんを見たときもあの身体中から漂うオーラに全身が痺れて一瞬身動きがとれなかったっけな……。

「ところで先に突っ走ってったあのアホはどこにいるんだ」
「さァこの島も狭くはないから探すとなると……」

噂をすればなんとやらだ。少し離れたとこにある背の高い建物の頂上がデカい音を立てて爆発した。

「絶対あそこだ!!」
「それじゃ、追いかけるか」
「ぬう……!このエニエス・ロビーの本島、海賊風情が騒ぎたておって……許さん!この門の守備をおおせつかった法番隊!未だかつて!我々の背を見た者はいないっ!!このライン誰一人として抜けられんぞォ!!観念せよ悪党共ォーー!!」

あいつはいい目印をたててくれるから楽だ。開いた口を閉じてこの先の道を睨むと犬っころに跨がって偉そうな口を利きやがる立ち塞がってきた。

「ちょっとよく見りゃ敵多すぎ!!」
「待て!!こっちへ乗れェ!!」

応戦しようとしたところに後ろから海を走っていたキングブルに乗った造船所の、パウリーが来た。

「助かったーっ!」
「ここへ来た本分を忘れるな!お前らの暴れる場所はここじゃねェ!!」
「確かに……この数相手じゃ日が暮れる」
「ロープをつかめ!今は前へ進むんだ!!」

言われた通りにロープを掴んでキングブルの背に乗りこんだ。それでもさっきの犬に乗った奴らが後を追いかけてきやがる。

「飛び乗って来る気だ!」
「ウソ!」
「手綱をとれ」
「?お前ら……」
「あいつらに会ったら言っといてくれよ。てめェらクビだと」
「……必ず」

渡された手綱を掴むとパウリーはすげェ縄技で追っ手を防いだ。キングブルは下にいる奴らをなぎ倒すように進んでいって無駄な手間を省いてくれるからすげェ快調だ。これならすぐにルフィに追いつけるかもしれねェな。