「よっっしゃー着いたーっ!怪獣のバーさんありがとう!おいおめェらさっさと立ち上がれ!こんなもん平気だろうが!」
「ゴ、ゴムのお前と一緒にすんじゃねェ……。な、生身の人間が、こんな突入させられて……!無事でいられるわけ……」
「あるかァーっ!!」
ルフィの身体と一緒にしないでよ!こっちは生身なんだから!石が当たったら痛いんだから!けどこれくらいで参ってたまるか!これからが正念場なんだから!
さっそくロビンのところに行こうって動きだそうとしたとき、上にいたCP9のなんだか全体的に丸っこいやつに呼び止められた。そいつが話してた事によると、ロビンは海楼石の手錠をはめられてて、その手錠を外すにはCP9の5人が持ってる鍵のどれかを使うしかないんだとか。早くしないとロビンは門の向こうに行っちゃうのに、こんな事されたら焦っちゃう。
「ルッチってのはあのハト男の事か?」
「ああそうだ」
「そいつとロビンちゃんが一緒にいるんだったらルフィだけでも先に行かせよう。ルフィ!お前はとにかくハト男をブッ飛ばせ!ルフィを除いておれ達は7人。ここに5人いるらしいCP9からロビンちゃんの手錠の鍵を5本手に入れ、ルフィを追う!!」
「ロビン君が門をくぐれば全てが終わる。何もかも時間とも勝負だな」
「敗けは時間のロス。全員死んでも勝て!!」
ちょっもややこしかったけど、あたしの役割はCP9に勝って鍵を奪う事だ。単純な役割にほっとした。けれど敗けは認められない。長引きすぎてもロビンが門をくぐっちゃったら勝っても意味がない。早く見つけて早く鍵を奪ってロビンのとこに急がないと。
みんなとバラバラの道を選んで走ってたけどどこにもCP9はいないし、気配を感じる方向に行っても行き止まりしかなくて、完全に行き詰まった。こんな事をしてる間に他のみんなはもうCP9と対峙してるんだから私も急がなくちゃいけないのに。
無我夢中で走ってたらサンジくんの気配が近くなってきたから、とりあえず様子を見る事にした。一緒に行動するのはさっきの今でちょっと気が引けるけどそんな事言ってられる状況じゃないし!ってなんとか自分に言い聞かせて部屋を覗こうとすると、扉ごとサンジくんが部屋の外に飛んできてそのまま下の階に落ちてった。
サンジくんが落ちたところを見下ろすと、ナミとチョッパーがいた。小さくてしっかり見えなかったけどサンジくんの形がなんだかおかしかった気がする。
「エントリーナンバー2はあなた?」
下を覗いてるあたしの後ろから声をかけてきたのは汽車でも会った女の人。この人にサンジくんが負けたのか。
「スーツを着た彼は意気地なしだったから下の階に落としたわ。あなたは楽しませてくれるのかしら?」
「……楽しみたいけどそんな暇はあたしにはないの」
「優しくないのね」
不敵に笑った顔はまさに女の魅力を感じさせるものだった。……あたしにはないもの。誰も彼もみんなあんなナイスバディだなんてあたしに向けた当てつけ?やめてほしいよ虚しくなる。
「私のこの泡であなたのその中途半端な身体も綺麗にさせてあげる事できるけど?」
「それ気にしてる事なんだから抉らないで!!それにまだあたしは発展途上なんだからねっ!」
「敵の挑発に乗るなんて……見た目通りまだまだ子どもってわけね」
心の中を見透かされてるのかと思うほど的確な事を言われて余計にペースに乗せられちゃうところだった。しかも言われないとそんな事に気付かないなんて。
「あたしは急いでるのっ!」
「そんなに急かす事ないじゃない。"
「"ブリーゼ"」
バスタブから引き出された泡があの人の身体の周りを漂ったあと、一斉に向かってきたのを腕を横に払って勢いを止める。この人も能力者だったなんてね。
「得体の知れない泡にお世話になるほどあたしはまだ諦めてないの」
「……あなた
距離をあけた攻撃は駄目だって思ったのか、あたしの後ろを取るために回り込んで来ようとしたところを上に跳んで体を翻してかわした。
「"ドゥルヒシュナイダー"」
「鉄塊」
あたしの仕掛けた斬撃は身体を硬くさせて防がれた。相手は泡の能力とあの技が使えるけど、あたしは風だけだ。だけど負けるつもりはないし、劣ってるとも思わない。ただちょっと頭を使わないと長引いちゃうかもしれない。動きを止めないと……。