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目を覚ますと夕方だった。先に起きていたチョッパーに聞くと、あれからまだ一日しか経ってないそうだ。部屋を見渡すとキッチンやらバスルームやら一式揃っていた。他にも二段ベッドがいくつかあって、まだ目を覚まさないレディ達は上の段で寝ているらしい。しかもリリナちゃんはおれの上だと言う事を聞いて居ても立ってもいられず、起こさないように音を立てないように覗くとちょうどこっちにクソ可愛らしい寝顔を向けて気持ち良さそうに寝ていた。

ずっと見ていたい気持ちをぐっと抑えて、すやすや眠るリリナちゃんのおでこに静かに唇を落とすと柄にもなく心臓がうるさくなり始めた。ああ、どうやらこの恋は本当に重い恋の病らしい。こんなのなんて事ないと思ったのにリリナちゃんが相手となると全てにおいて予想を超えてくる。



それから更に一日経ってから一番最後にリリナちゃんは起きた。ずっとベッドの上から出てこなかったが一時間ほどすると、やっと下りてきておれの用意したオレンジジュースを飲んでナミさんに勧められるままにバスルームに入ってった。すると少ししたらそのバスルームから鼻歌が聞こえてきて自然と頬が緩んだ。

「はーサッパリ!」

バスルームから出てきたリリナちゃんの髪はまだ水分を含んでいて、服を着ているとはいえいつもと雰囲気が違う。こう……色っぽいというか……。って、なんつー目で見てんだおれは!

「リリナちゃんも飯食うかい?」
「うんっいただきます!……あれ」
「ん?どうかしたのか?」

リリナちゃんにと残しておいたものをテーブルに並べてそこにリリナちゃんを座らせた。料理に手を付けようとしたリリナの手が直前で止まったと思ったら、一点を見つめたまま動かなくなった。そんなリリナちゃんの名前を呼ぼうとすると入り口のすぐ隣の壁がデカい音をたてて壊れた。

「何だ……!誰だァ!!」
「お前らか……麦わらの一味とは。モンキー・D・ルフィに会わせたい男達がおるんじゃが……」
「海軍……!」
「あっ!」
「起きんかァー!!」

ルフィの名前を出した海兵に只ならぬものを感じて寝ているルフィを背中に匿ったが、それも虚しく一瞬でルフィと距離をつめられて強烈な一撃を食らわせた。が、打撃はゴムであるルフィには効かねェし大丈夫だろう。

「い!?痛ェー!!!」
「痛ェ!?何言ってんだパンチだぞ今の!ゴムに効くわけ……」
「愛ある拳は防ぐ術なし!ずいぶん暴れとる様じゃのう、ルフィ!」
「げェ!じ……じいちゃん!!」
「えェ!?じいちゃん!?」

ルフィの莫大発言にただ驚かされた。ルフィの家族が海兵って……どういう事だ!モンキー・D・ガープ。名前も疑いようのないものだが、海賊であるルフィのじいちゃんが海軍の中将やってるって大丈夫なのかよ、いろいろと。

「ガープおじいちゃんっ!」
「えっ?」
「リリナー!元気にしとったようじゃなァ!はっはっはっ」
「ん……?」

おれらの横をすり抜けてルフィのじいちゃんに抱きついてったリリナちゃんと、それをあたり前のように受けとめるルフィのじいちゃんに置いていかれてるのはおれ達全員、状況を把握できないでいる。

「見ないうちに大きくなったな!ルフィにいじめられなかったか?」
「大丈夫だよー!良くしてもらってたんだ!」
「お前が海に流されたと聞いたときはどうなるかと思っとったが、まさかルフィに拾われるとはな!……ん?石けんのいい匂いがするな、なんだリリナわしが来るの知っててめかし込んだのか?」
「ううん、偶然だよ」
「偶然か!わっはっは!」
「………」

状況がまったく読めん。このじいちゃんは確かにルフィのじいちゃんだ。なのになぜリリナちゃんまでもがおじいちゃんと呼ぶのか。ルフィの様子を伺っても目を点にしてるあたり分かってないようだ。説明してほしい。