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プレゼントをサンジくんにあげたらすごく喜んでくれて、でもサンジくんはそのテンションに身を任せてハイペースだったから、遅れないようにって追いかけてたんだけど結局見えなくなった。

仕方なくあたしはマイペースに歩いてると廃船島に出る一歩手前で先に行ったはずのサンジくんが待っていてくれてた。照れ臭そうに頭の後ろを軽く掻きながらごめんって。よく見ると胸ポケットのあたりが四角く浮き出てて、ちゃんとプレゼント持ってくれてるんだなって思うとあたしも同じところが温かくなる感じがする。


二人で並んで廃船島に行くとほっぺを膨らませてる仁王立ちのルフィがいた。

「やっと来たな!お前らのせいでお預け食らってたんだぞ!!」
「ルフィが我慢してたんだから感謝しなさいよ」
「うん、遅くなってごめんね!」

今にも殴りかかってきそうなルフィと隣でうんざりした顔をしてるナミに謝ってから、アイスバーグに船にかぶってる白い布を取ってもらう事になった。

「この船なら世界の果ても夢じゃねェ。フランキーからお前への伝言はこうだ麦わら」
「早く見せてくれーーっ!!」
「お前はいつか海賊王になるんなら、この百獣の王の船に乗れ!」

大きな布を剥がされた船は大きい帆で、いろいろ楽しめそうなものがたくさんあるなって思うような色をしてた。船首はメリーと似てる顔をした犬かな?

「うおーーっ!!でけー!かっこいいーー!!」
「いろいろ飛び出しそーー!!」
「うおおコレくれるのかー!?」
「へえ……メリーの2倍はあるな!」
「おっきな縦帆!スループ!?」
「キッチン見せろ!キッチン!」
「立派な船……!」
「あそこに何があるのかな!?」

みんなが船に向かって走り出したからあたしも追いかけて甲板に飛び乗ったら、着地したときの感触が柔らかいなって思ったら芝生が植わってた。ここで寝られそうだ。ルフィについて行くとお部屋いっぱいの大きな水槽があって、まだ何も泳いでなかったけどイルカとか入れたら毎日楽しそう!それからお風呂も何倍も大きくなってた。あとこの前ナミ達と買った家具が置いてあった部屋は女の子の部屋なのか、可愛くてソファも3つあって、ベッドも3つあったけど真ん中の1つだけ少し小さいのはあたしのかななんて思ったりしたけど真ん中で寝られるのは嬉しいな!

「リリナー!どこにいんのー!」
「ここだよー!」
「分からないから外に出てきなさい!」
「はーい」

どこからかナミのお呼び出しがかかって、ちょっとだけ迷いながらどうにか甲板に出るとフランキーがこっちに丸出しのお尻を向けてガレキの中に突き刺さってた。頭から。

「あ、お尻だ」
「あんたすごいタイミングで来たわね」
「フランキー、うわっ!」
「フランキー!船!ありがとう!最高の船だ大切にする!!」
「ああ。お前らの旅の無事を祈ってる」

みんなと一緒に船べりに掴まろうとするといきなり目の前が真っ暗になって何も見えなくなった。ロビンの手にあたしの両目を塞がれたみたい。まあ目が見えなくても、状況は分かるけどね!フランキーが起きあがるのと一緒にこっちの船にチョッパーと飛んできたルフィ。左手に持ってるのはたぶんフランキーのパンツ。フランキーもかっこよくあたし達を送り出そうとしてくれてる。アロハシャツ一枚だけど。

「このパンツ!!返して欲しけりゃおれ達の仲間になれ!!」

少しの間ルフィもフランキーも何も言わないでいると、上の町のほうから町の人達から野次が飛んできた。フランキー変態なんだって!そんなに仲良くないあたしの事助けてくれたヒーローなのにね!

「パンツを返せ!麦わら」
「じゃ、仲間になれ!」
「バカいえ……パンツ取ったくらいでおれを仲間にできると思うなよ!」

アロハシャツ一枚でも堂々とポーズを決めたフランキーにいろんなところから悲鳴が聞こえて来た。

「下半身丸出しでポーズを決めた!」
「最悪だ!あいつ最悪だ!!」
「甘かった……!何て気が強ェんだ。あいつ!男の中の男だ!!」
「ただのど変態でしょうが!!」

パンツが無くても気にならないらしいフランキーはポーズを決めてむしろ見せびらかしてるみたい。いろいろと。変態っていうのはちょっとやそっとじゃ直るものじゃないってナミも言ってた。

「手荒でよければ手を貸しましょうか?"二輪咲きドス・フルール" "グラップ"」
「ホデュアーーっ!!」

ロビンが技をかけるのと一緒にフランキーの何とも言えない叫び声が響いた。なぜかチョッパーまで痛がってるからよく分からない。あれって痛いの?

「どれくらい痛いの?」
「聞くな!!」

なんとなく聞いてみたら男性陣みんなで怖い顔して怒られた。聞いてみただけなのに。