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船と一緒にフランキーも仲間になった!ガープおじいちゃんがあたし達を探してるってゾロとサンジくんが言うから、ウォーターセブンの人達とお別れもちゃんとしないまま船を出す事になって新しいこの船の帆を広げて出発した。

けどまだ完璧じゃないんだ。だってほら、まだ一人ウソップが乗ってないから。だけどゾロがこれは海賊ごっこじゃねェってうるさくて、船が完成してこの島を出るときまで黙ってウソップを待とうってルフィが言ったから待ってたんだけど結局ウソップは来なかった。サンジくんが予行練習してたって言ってたから来ると思ってたのに。

「本当にいいのか麦わら。もう一人待たなくて」
「待ってたさ!サンジからあの話を聞いてから、おれはあのガレーラの部屋が留守にならねェ様にあそこでずーっと待ってたけど来なかった!これが答えだ!あいつだってよ、楽しくやると思うよ。海賊はやめねェだろうからそのうち海で会えるといいなー!」

みんなの静止を押し切ってまでやったあの決闘の結果だからってルフィも分かってるけど、心の中では呼びに行きたいんじゃないかな。ルフィはやせ我慢、空元気だって分かるくらいに不自然な笑顔だった。


そんなときに遠くの方から飛んできた砲弾がすぐ近くに落ちて船が波に揺られた。向こうの方にガープおじいちゃんの船が来ちゃったんだ。

『おいルフィーー。聞こえとるかー!こちらじいちゃん、こちらじいちゃん』
「おいじいちゃん!何だよ!おれ達の事ここでは捕まえねェっつったじゃねェか!」
『いやあしかしまあ色々あってな、すまんがやっぱり海のモクズとなれ!』
「えーーっ!?」
『お詫びと言っちゃあ何じゃが、わし一人でお前らの相手をしよう!』

離れたところからあたし達に近づいてくるあの船からの威圧感がすごい。ガープおじいちゃん一人でってお詫びなんかにならないし、逆に危ないの分かってる。飛んできた砲弾はこの船の船尾ギリギリを通って島のガレキに落ちてった。ガープおじいちゃんのよく分からないこの腕力には太刀打ちできないから、とにかく逃げなくちゃ!

『リリナの事はしっかり守るんじゃぞ!それができんなら置いていけ!』
「何だよそれ!言ってる事めちゃくちゃじゃねェか!リリナはじいちゃんのもんじゃねェぞ!おれのだ!」
『じいちゃんのじゃ!』
「どういう取り合いなのよ……」
「ガープおじいちゃんまたねー!」
『じいちゃんを泣かせる気かー!』

ガープおじいちゃんは笑って見送ってくれはしないらしい。おじいちゃんは好きだけど海軍に捕まるのは嫌だからおじいちゃんのところには行かないよ!

「きた!!きたぞウソップが!」

砲弾から逃げるために動き出したときにウソップが人だかりをかき分けてやってきた。何か言ってるみたいだけど砲弾が飛んでくる音と、防いだ砲弾が海に落ちて起きた水飛沫の音にかき消されてなにも聞こえない。だけどなんとなく、言ってる事は分かる。ゾロの言った深い謝罪じゃない。だからルフィもゾロも、決めた通りに無視しなくちゃいけない。

「ごめーーん!!!」

さっきまでは聞こえなかったウソップの声がはっきりここまで聞こえてきた。ずっと待ってた謝罪の言葉。

「意地はってごべーーん!!おれが悪がったァー!今更みっともねェんだけども!おれ一味やめるって言ったけど!アレ、取り消すわけにはいかねェがなァー!!ダメかなー!……頼むからよ、お前らと一緒にいさせてくれェ!もう一度……!おれを仲間にいれてくれェ!!」

直接は見えないけど目からいっぱい涙を流して顔がよれよれしてる。声も涙のせいで聞き取りにくい。だけどちゃんと聞こえたんだよ。ごめんって。

「バガ野郎!早く掴ばれーっ!!」

ウソップのところまで腕を伸ばしたルフィも同じくらい涙と鼻水でよれよれで、ナミの言う通りにかっこ悪い。かっこ悪いけど、それでもいいんだ!

「やっと……全員揃った!さっさとこんな砲撃抜けて!冒険にいくぞ野郎共ー!」
「おーーっ!!」

ウソップが帰ってくると一気に空気が明るくなった。ルフィの声張りのある声に答えたみんなも嬉しそう。これで心置きなく次の島にいける!