013

結局30分も経たないうちにロープウェイは修理し終わった。みんなでロープウェイに乗って山のお城を目指してるんだけど、ロープウェイの定員を超えていてなかなか進まない。でもそこから見る島とか海の景色はとってもキレイで水平線の向こうまで見えそうなくらいだ。

メリー号もモビー・ディックもこれくらい大きければ。その声が漏れていたようで隣にいたゾロにそれはムリだと言われた。


エースにもこの景色を見せてあげたい。絶対エースもキレイだって言ってくれるよね。今頃なにしてるのかな、ふと気になったせいで胸の辺りがもやもやして苦しくなった。

「どうかしたか?」
「え?」

無意識に下げていた顔をあげたらゾロがあたしを見ていて少しビックリした。なんでもないよ、と返事をしてまたあの景色を眺めた。


結局何もできないままそわそわしていると頂上に着いて様子を見に行くゾロの後に続いて歩く。

「おい引っ張るな!」
「よし、援護するぞ!」
「てめェビビってんなら後から来りゃいいだろうが!」

どんなところなんだろうと好奇心を抑えてウソップの後に続いているとお城が見えてきた。それからルフィが少し離れたところにいる。

「び、びびってねェよよよ!なぜならおれは」
「おりゃあああああ!!!」
「なにぃー!?」
「あ。ゾロ、ウソップにリリナ」

上から突っ込んでくるルフィを避けると他の2人と直撃した衝撃で雪が空に舞い上がる。

「何してくれてんだてめえ!」
「なーんだその服なんか見覚えがあったからまたあいつらの仲間かと思ったよ。お前らも登ってきたんだな。ウソップ、お前登れねェとか言ってなかったか?」
「はっはっはっは。バカいえ。おれはそこに山があれば登る男だぜ。しかしこの絶壁はちょっとした冒険だっ……」
「ロープウェイで登ってきたの、ルフィさん。ナミさんとサンジさんは無事なの?」
「ああ、元気になった」
「あれだ。途中でコンドルに襲われたときはまァ驚いたぜ。だがそう、そこはやはりおれ!……」
「よかった!」

ナミがお医者さんに診てもらい回復してるとルフィの簡単な報告に安心した。

「2人ともどこにいるの?」
「城ん中だ!」
「さすがおれと言うべきか、奴がおれの心臓めがけて飛んできたその瞬間!舞うようにその身をかわし
「で?お前は城のてっぺんで何してたんだ」
「王様をぶっ飛ばしてたんだ」
「すかさず空飛ぶコンドルにまたがるキャプテンオレ!奴の首にロープをかけ、おれはこう言った。おれの名はキャプテ〜〜ン、ウソップ!!」
「じゃあやはり、さっき空の彼方へ飛んで行ったのはワポル……!あとの2人はどうしたんだ!?」
「トナカイがぶっ飛ばした。そうだっ!おい聞いてくれよ新しい仲間を見つけたんだ!」
「なにっ!?」
「……あのワポル達を、トナカイ?」

ルフィが言ったトナカイなんて見当たらなくて、きょろきょろと周りを探すと少し離れたところにある細い木の陰に小さな動物を見つけた。たぬきだ!

「!青い鼻。君は、あのときの?……ありがとう!ドラムはきっと生まれ変わる!!」

ドルトンはそのたぬきくんとルフィに体を向けて負った傷を庇うことなく膝をついて頭を下げた。そんなドルトンを他所に木の陰のたぬきくんに気付いた町の人たちが見たことのない動物だって騒いだ。バケモノだって言いかけたところをドルトンが止めたのにウソップが冷や汗を垂らしてバケモノだ!って叫んだせいでたぬきくんは逃げてっちゃった。

「あ!バカ野郎!おれが見つけた仲間ってあいつなんだぞ!」
「なにぃあれが!?」
「ショック受けて逃げちまったじゃねェか!待てよ!バケモノォ!!」

逃げるたぬきくんをすごい形相で追いかけて行くルフィを面白そうだし、あたしも話してみたくて追いかけた。新しい仲間か。可愛い子だったな、名前なんて言うんだろう。