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ハチの美味しいたこ焼きをお腹に詰めこんで、サンジくんのお茶で一息つきながら改めてシャボンディ諸島へ向かった。海も穏やかだったおかげで、ゆっくりこの先のことを話すことができた。あたしも最初に来たときは誰にコーティングを頼むのかってみんなで悩んで、適当な人に頼んだからもう少しで魚人島ってときにしぼみ始めたんだ。どうにか辿り着けたけど。


みんながワッと声をあげた。思い出に浸ってぼんやりしてるうちにシャボンディに到着してた。目の前の島は前に来たときの記憶のまま大きいシャボン玉があっちこっち飛んでいて、早く下りておいでって急かされてる気分になる。

船を適当なところにつけて、みんなで上陸の準備をした。てっきりサンジくんも一緒だと思ったのにナミにお宝の見張り役を任せられたからって船で待ってるんだって。じっとサンジくんを見てると、あたしの視線に気付いてこっちを見た。目が合うとにっこり笑ってリリナちゃんはナミさんに良いものたくさん買ってもらいなって言うから、ちゃんと返事しないで顔をそらした。なんとなく嫌な気持ちになった。たまによく分からなくなるときがある。

「よーし!遊ぶぞー!」
「リリナ、行きましょ」
「うん。ちょっと待って、部屋に忘れものした。先に行ってて!」
「何か持って行くものでもあるの?」
「うん、ちょっとね」
「そう。早く来なさいよ?」
「はーい」

先に行くみんなと少しタイミングをずらすために一回部屋に戻った。あたし専用の箱の中に大事にとってあるお金で、いいなって思ったものがあったら迷わず買っちゃおう。


すぐに持ち出せると思ったお金が思ったよりすぐに見つからなくてだいぶ時間がかかった。そういえばこの前残ってるお金を数えてたらナミに見つかっちゃったから、見つからないように違う場所に隠したんだった。

「おーリリナ。お前ずいぶん時間かかったな。もうみんなとっくに見えなくなっちまったぞ」
「うん……どうしよう?」

やっと甲板に出るとウソップがサンジくんと一緒に外に向かって手をひらひらさせてた。これからサニーのメンテナンスをするフランキーのお手伝いをするんだとか。

「あ、ならお前ゾロと一緒に行ってやってくれよ。お前となら安心だ」
「いやいやいやいや。馬鹿言ってんじゃねェよ!迷子マリモと一緒じゃリリナちゃんがどこかに連れて行かれちまうだろ!」
「だから迷子になんかなんねェよ!」
「ゾロでいいよ!みんなもう先に行っちゃったからちょうどいいし!」
「人をオマケみたいに言うな」
「ダメだダメだ!おれは許さん!」
「……サンジくんは大事なお宝の見張り役でしょ?ならあたしゾロでいい!」
「お前さっきからなァ!」

勢いで思ってもないことを言ってみたらモヤモヤしてたものがスッキリなくなった。それを聞いたサンジくんは口をぱくぱくして何か言いたそうにしてたけど、無視してゾロと町の中に向かって歩き出した。サンジくんがそうならあたしだって仕返ししてやる。


「………立派な痴話ゲンカだな」
「何もあんな奴と二人じゃなくても……」
「リリナもナミに言われたこと優先したお前がムカついたんじゃねーの。嫉妬ってやつだろ」
「……可愛い」
「末期だな、お前」

ゾロと二人で町を歩くなんて初めてだから楽しいか分からないけど、一人よりはだいぶマシだ。もしかしたら何か買ってくれたりするかもしれないしね。