船大工からプレゼント

ウォーターセブンの後の話 。


「おう、嬢ちゃん一人か?」
「うん、ルフィ達お風呂行っちゃったんだ」

おれが晴れてこの一味の仲間入りを果たし今までずっと守りつつ育ってきた水の都から旅立って、麦わらのじいさんから逃げきってすぐ長鼻がここ最近風呂に入ってないって言うから麦わらとトナカイと3人で入ってるらしい。言われてみれば確かに騒ぎ声が聞こえてくる。

「毎日入ればいいのにね?」
「お、おう……」

おれも毎日入るわけじゃないから今のには頷きにくい。頬を膨らませて大浴場のあるほうを見ている嬢ちゃんは今甲板に1人だ。聞くところによると小娘とニコ・ロビンは測量室で本を読んでこもりっきり、ゾロはジムでトレーニングをしているらしい。ぐる眉コックはキッチンでレシピを書いてる途中でうたた寝してるから邪魔しないように外に出てきたという事だ。なんていじらしい奴だこの嬢ちゃんは。涙を誘うぜ、チクショー!

「フランキーは何してるところ?」
「おれも暇してたとこだ。ちょうどいいから顔貸しな」

少しトゲのある言い方をしちまった事に気付いて嬢ちゃんの様子を伺うと、けろっとした顔をしておれの後ろを歩いていた。目が合うと口角をあげて首を傾げて見上げてくるもんだから、久しぶりに庇護欲が掻き立てられた。なるほどな、こりゃあのコックが目の色変えて追っかけ回すわけだぜ。ま、こいつも変なやつを引っかけちまったもんだ。

「もしかして遊んでくれるの?」
「おれと遊ぶくらいならぐる眉コックを起こした方が面白いぜ」
「じゃあ今度遊んでね」
「しょうがねェな」

おれの後ろを軽い足音を立ててついてくる姿はモズとキウイとはまた違って年の離れた妹みたいだ。

「お前の事だからどうせ気付いてないだろうから、おれから紹介しとくぞ」
「何だろう?」
「聞いたとこによるとお前は洗濯が好きな変わりモンらしいな」
「うんっ、お洗濯係やってる!」

大浴場の前の脱衣所に到着すると一気に今風呂に入ってる3人の騒ぎ声が大きくなった。

「そんな嬢ちゃんに、おれからこれをやる。水分絞り取り器だ」
「あっ!!これ欲しかったやつ!」
「そうだろう。手で絞ると服を傷める事になっちまうからな。だがこれがあれば生地を傷める事もなく、なおかつ楽に水分を絞り取る事ができるってわけよ!」
「フランキーありがとう!とっても嬉しい!!あのね、これ欲しかったんだけどナミに相談したら駄目だって言われたから持ってなかったんだよ!」

装置を見た途端に興奮状態になった嬢ちゃんは、満面の笑みで礼を言って装置に釘付けになってる。心底嬉しそうだ。こんなに喜んでもらえたなら作ってよかったな。これからはおれも嬢ちゃんにも世話になるわけだし少しでも手助けしてやりたくてこれを作ったんだ。

「そうださっそくお洗濯しよう!」

その日一日嬢ちゃんからの話題はおれのあげた装置の話で持ちきりだった。他のクルー達はうんざりしてる中、あのコックだけは何回も笑顔で聞いてる様には愛を感じた。

あの野郎にもちゃんとしたマナーがあるとは思わなかったな。女には手当たり次第の声かけて心奪われてるもんだと思ってたが。……いや、間違っちゃないんだろうが、そんな軽い男が特定の女にこんなに夢中になるとは。

しかもあの野郎ちゃんと嬢ちゃんのペースに合わせていやがるから、こう心にぐっとくるもんがある。まさかこんな色恋沙汰で泣くほどおれは涙腺の弱い男じゃねェはずだ!

「フランキーどうしたの?もうホームシック?」
「リリナちゃん、変態に話しかけんのはやめときな」

そうか。女好きのあのコックも嬢ちゃんには本気ってわけだ。それならおれァ応援させてもらうぜ。コックのでけェ愛が、ぐてぐてに鈍い嬢ちゃんに届くように。