023

エルマルから歩き始めて辺り一面砂の山だらけで他に何も見えなくなって、気を紛らわす事もできないし暑さを我慢できなくなってきた。暑いのは息苦しくなるから嫌い。だから砂漠は嫌いだ。チョッパーはモコモコの毛のせいですぐにダウンしちゃってゾロに助けてもらってる状態でとっても辛そう。

途中でルフィに風を起こしてほしいって頼まれたけど、こんなに暑いから風もきっと熱いよって言ったけど、何でもいいからってやけくそに返されたから砂が巻き起こらないようにそっと風を起こすとやっぱり熱い風があたし達を包んで、みんなを巻きこんで不快にさせて表情がもっと暗くなっちゃったからヘコんだ。


いまは荷物もちゲームで言い出しっぺのルフィがみんなの荷物を持ってるところ。負けちゃうんじゃないかってヒヤヒヤしてたけど、勝ててよかった。

「ややっ!前方に岩場発見!」
「ほんとかっ!?休憩タイムだーーっ!」
「速ェな!」

岩場が見えた途端一目散にその岩場に走っていくルフィにまだ元気あったんだ、と心の中でつっこむ。

「大変だーーっ!」
「なんだ!?あいつ戻ってきたぞ」

ちょっとしてすぐに焦った様子で戻ってきたルフィは、岩場に大けがして死んじゃいそうな鳥がいるからってチョッパーに治してもらうように言った。

「う、うんわかった!」
「鳥!?ちょっと待ってルフィさん。その鳥って、まさか……!」

ビビが鳥に反応して先のほうにある岩場に急ぎ足で向かっていったから、みんなで追いかけるとルフィが運んでた荷物が無くなってた。

「荷物が全部消えてるぞーー!?」
「やられた」
「さっきここに本当に死にそうな鳥が!」
「ワルサギは旅人をダマして荷物を盗む砂漠の盗賊よ。ごめんなさい、話しておくべきだった」
「鳥がケガしたフリを!?そりゃサギじゃねえか!」
「そう、サギなの」

日陰に入って岩に座ってひと息吐くと少し離れたとこで何かが動く気配を感じた。集中してみると鳥が何羽もいて、それはビビが話してたワルサギみたい。

「あれは3日分の旅荷なんだぞルフィ!鳥なんかに盗まれやがって!この砂漠のど真ん中で、よりによって全員の荷物を全てだと!?水も食糧も何もなくてどうこの砂漠を」
「だってダマされたんだから仕方ねェだろうが!」
「てめェの脳みそは鳥以下か!」
「なにをーーっ!!」

またサンジくんもルフィが揉めはじめて、胸倉掴んでまた取っ組み合いが始まってしまった。それを見てたら何でか面白くて笑うのを我慢できなかった。

「やめろお前ら!!……ちょっと休もう。カッカすんのは全部暑さのせいだ、頭冷やせ。夜中にはユバ着くんだろ?」
「ええ」
「その町がオアシスならそれまでの辛抱だ。死ぬほどのこっちゃねェ!このことは忘れよう。考えると余計喉が渇く。10分休んだら出発だ」
「あ。あの鳥」

岩場に隠れてたワルサギが見えるとこまで近くに来ると、ルフィがすごい形相で追いかけてった。

「アアアアア!あいつらだアアア!!俺たちの荷物を返せーーっ!」
「ルフィ!だめよ追っちゃ!あんたここへ戻ってこれるの!?」
「そうかそっちのほうが面倒だっ!ルフィ!戻れーーっ!!」

ナミとウソップの制止も夢中で追いかけるルフィには届かなかったみたいで、あっという間に見えなくなった。

「……あのばか」
「うううわあああーーっ!!」
「今度は何だァーっ!」

見えなくなった方向を見ていると今度は急にルフィが近くなってその後ろにすっごく大きい何かが追いかけてきてて、思わず立ち上がった。

「何かに追われてるわ!」
「サンドラ大トカゲ!」
「でけェっ!!」
「……隣でラクダも走ってるってのはひとまずおいとくか」
「ったくどういう星の下に生まれればこうトラブルを呼び込めるんだ。」
「……く!こんのヤロォ!」

「WゴムゴムのムチW!!」
「W龍巻きW!!」
「W肩肉エポールシュートW!!」

ゾロが立ち上がって柄を握るのと一緒にサンジくんが吸ってた煙草をふかした。トカゲに背中を向けてたルフィが拳を固めて応戦体勢をとると3人同時にトカゲに技を決めたら、トカゲは動かなくなった。

倒したトカゲは食べることになってあたしの分をもらって肉をかじろうとした時、はっとあることに気付いた。あたしみんなといるようになってから全然動かなくなったなあ。これじゃあ船に戻ったときどやされちゃうかもしれない。怠けないようにしなくちゃ。

みんなと少し離れた場所に座って肉を食べてると、みんながルフィと一緒に逃げてきたラクダの話をし始めて、聞く耳を立てた。ルフィが乗ろうとしたら乗らせないように頭を噛んで阻止したのは、ラクダは女の子しか乗せない主義なんだってチョッパーが通訳に入ると今日血の気が多い3人が蹴ってイジメだしたから、ナミがそれを止めてマツゲと名前をつけた。

「ビビかリリナ!乗って!」
「ううん大丈夫。私はまだ歩けるわ」
「じゃああたし乗ろうかな!」

肉を食べ終えた頃にナミに呼ばれたから輪の中に入ってラクダの背中に乗ろうとしたら横から手が伸びてきたから体を止める。顔を上に向けるとその手はサンジくんだった。

「いや、リリナちゃんはダメだ!」
「え?なんで?」
「疲れたなら俺がおぶってやるから、乗らないでくれ!」
「え?でも」

おぶってもらうなんてそんな迷惑なことしてもらうわけにいかないのに、なんかサンジくん焦った感じだし何かあるのかな?

「……ふふ。じゃあビビ。これで少しは早くユバへ着けそう。それいけっマツゲっ!」

結局ビビを後ろに乗せたマツゲはナミの号令で元気よく走って行っちゃってそのスピードに残されたみんなで待ったをかけた。

「ちょっと待てーっ!」
「ホラみんな急いで!はぐれたらあんたら生きて砂漠を出られないわよ?」
「フザけんなー!」