大きいカニの上で移動してるときみんなそれぞれ違う事してる。ゾロはラクダを刀の鞘に乗せて腕を鍛えてるし、ウソップはチョッパーとお話ししてる。あたしはサンジくんに煙草の煙を輪っかにしてもらって楽しんでるところ。やってみたいって言ったらダメって言われたから見てるだけ。
「ゾロ、あんたそれ余計な体力使うだけじゃない」
「うるせェ!」
「ほっときゃいいんだよナミさん、あいつらは。何かしてねェと気が紛れねェのさ。器用じゃねェんだ。特にあの体力バカは、七武海のレベルを一度モロに味わってる」
え?そうなの?七武海って、誰の事かな。クロコダイルではなさそうだ。
「オイてめェ、何が言いてェんだ。ハッキリ言ってみろ」
「ああ言ってやろうか。おめェはビビってんだ。ルフィが敗けちまうんじゃねェかってよ」
「おれが!?ビビってるだア!?この、素敵マユゲ」
「アッ!カァッチーン!アッタマきたぜオァ!?この、まりもヘッド」
今にも喧嘩が始まりそうなところでナミからの制裁が下って一瞬で静かになった。
「平気よみんな!ルフィさんは敗けない!約束したじゃないっ!私達はアルバーナで待ってるって!」
そう言ったビビの顔をみると汗がだっくだくでそんな余裕が無いのが表情に出てる。
「おめェが1番心配そうじゃねェか!」
「あんたは反乱の心配してりゃいいの!」
「……悪かったなビビちゃん」
「お前にフォローされちゃおしまいだぜ」
「よし、じゃあ頭をアルバーナに切り換えて!行くのよハサミっ!」
「なんだそりゃ」
「名前よ、カニの」
「そういえばアルバーナに行くまでにサンドラ河を渡らなきゃいけないけど、どうやって渡るの?ヒッコシクラブじゃ河は渡れないんだけど」
「何!?このカニで河は渡れねェのか!?」
「ヒッコシクラブは砂漠の生き物だから水は苦手なのよっ!」
「でもカニだろうがカニ!何とかしろ!」
「この海みてェに広い河をのん気に泳いでたら日が暮れちまうぞ!それに見ろ!河を越えたらまた何十kmも砂漠がある!このカニが向こう岸へ行けなきゃその先、走れってのか。間に合うわけねェだろ!」
どうしよう。泳ぐことになったらみんなの足引っ張っちゃうな……。
「やべェっ!そう言ってる間に、サンドラ河が見えてきた!」
「なんとかしてハサミく〜ん!」
「そうだ!ハサミは踊り娘が大好きだ!」
「……これでいいの?」
「加速したァ!エロパワーだァ〜っ!」
踊り娘が好きだってことでナミが羽織ものを脱いで踊り娘の服になると、カニの目がこっちに向いてスピードアップした。目がやらしい。
「え、おいおいちょっと待てよこのカニすげェぞ!」
「奇跡だっ!水上を走ってる!」
道が明るくなったみたいに水の上を進んでいくカニの上で不安が一気に飛んでいったとき、どんどん水が上がってきたみたいにカニの体が沈んでいって思わず隣にいるサンジくんにしがみ付いた。
「気のせいかァ!」
「ぎゃああ!水ううっ!」
「ちょっと待てって!船はねェのか向こう岸まで何kmあんだよ」
「50kmくらい」
「泳げるかァッ!」
「文句言ってるヒマはねェ進むんだ!」
「さ、サンジくん、ごめんね」
「謝るこたねェさ。レディを助けるのはおれの使命だ」
結局またサンジくんのお世話になる事になって今背負ってもらってる状態。水がちょっと怖いけどカニに手を振ってると前で誰かが叫んだから正面を向くとおっきいナマズがこっち見てる。
「きゃああああ!!」
「サンドラマレナマズ!出現がごくマレなの!」
「んな説明いらねェよ!」
「あと人間が大好物!」
「そっちを先に言えェ!」
ビビちゃんの二つ目の説明と同時に大きい口を開けて襲いかかってくるから慌てて来た方向に泳ぎだしたら、何が鈍い音が聞こえると後ろからたくさんの気配を感じて振り向く。気絶してるナマズの体の上にたくさんのクンフージュゴンがいて、チョッパーの通訳のおかげで向こう岸まで連れていってくれた。あのときのルフィの行いが活躍したね!
「順調に来てるぞ間に合いそうか!?」
「難しいわマツゲくんに乗ってもまだ間に合うかどうか」
「しかもそれじゃ乗れて2人だ。バロックワークスが仕掛けてくるとすりゃここから先だぞ。何とか全員で行動する方法はねェのか!?」
「カルーだ」
「え!?カルーっ!それに超カルガモ部隊!迎えに来てくれたのね!?これなら何とか間に合いそう!」
カルーが引き連れてきたのは個性豊かなカルガモ達。大きい子もいればカルーよりほんの少し小さい子もいる。
「マツゲは自分で走ってきて」
「みんなかわいい!よろしくね!」
「さあ!行きましょう!」
みんなそれぞれカルガモに乗ってアルバーナを目指す。途中で同じマントを着て。