032

アルバーナの街が見えてきた。それからゲートの前にバロックワークスの人達がいて、船で会ったオカマもいる。

「バロックワークスだ」
「やっぱりいるわね。3つに別れてそれぞれおびき寄せるのよ。あいつらがいたんじゃ反乱軍を止めるどころじゃないわ!ビビは今のうちに岩陰に隠れてて」
「……うん」

バロックワークスとの距離が近くなると向こうから砲弾みたいのが撃たれてゾロの号令で避けて3つに別れてゲートに向かう。あたしはウソップと南のゲートに。

「オカマの後ろからまた人が追いかけてきてる。アラバスタの人かな?」
「分からねェけど止まるわけにいかねェぞ!オカマのほうが強ェし!」
「それじゃあその後ろの人達はあたしが引きつけるから、ウソップは先に行って!」
「え!?あ、ああ悪ィが頼む!」

先に行くウソップとラクダを見送って乗せてくれてたカルガモにマントを着せて後を追ってもらった。後ろから見ればまだ人が乗ってるように見えるからきっと気付かなそう。
案の定オカマは酷い顔をしてウソップを追いかけてった。どうにかしてくれるかな?大丈夫だよね、ウソップは。とりあえずあたしはあの人達の足止めしなくちゃ。数えると全員で7人だ。これなら屋根の上からでも大丈夫そう。ただの時間稼ぎだし。

「WブリーゼW」

小さい声で呟いて人差し指をくるんって向かってる方向からその人たちの方へ動かすと一瞬の突風が起きて声をあげてすってん尻もちをついた。みんな何があったのか分からなくてキョロキョロしてるから、屋根の陰に隠れた。面白そうだからバレないように見守ることにしよう。
下ではまだ能力者だ、とか反乱軍か、とか言っててあたしを見つけられてないみたいだから、路地に置いてあった樽を風で持ちあげて一番慌ててる人にあてたらもっと慌て始めたから可笑しくて声に出して笑ったからいたぞ!って意外と呆気なく見つかってしまった。

「白ひげ海賊団んとこの女だ!束でかかればどうってことないぞ!捕まえろ!」
「どってことないってひどいな。あたしだってオヤジの名前背負ってるんだから、そこら辺の人なんかに負けないよ!WヴィントホーゼW」

人差し指で渦巻きを作って上にあげると下の人達の足元から風が起きてみんなを巻きこんだ竜巻に変わった。

「どうやって抜けだせるかな?抜けだすのが早いか、風が鎮まるのが早いかどっちかな?答えは、風に舞ってるよ」

風に飲みこまれて慌てふためく人達をみてそこから離れる。なんだかスッキリしたな。よかった、バロックワークスの奴らで!それよりどこ行こうかな。誰かと合流しなきゃね。ウソップは大丈夫かな?

「リリナちゅわ〜ん!」

とりあえず大きい建物に向かって走ってたら後ろからサンジくんの声が聞こえて振り向くと、チョッパーと包帯ぐるぐる巻きのウソップを乗せたラクダがいた!

「サンジくん!チョッパーにウソップとラクダも!」
「リリナ!よかったケガしてねェな!」
「リリナちゃん無事でよかった!くじとは言えこんな頼りねェ野郎と一緒になっちまっておれァ生きた心地しなかったぜ」
「大げさだよ」

涙を流してるサンジくんを慰めると、ウソップ程じゃないけどサンジくんもチョッパーもあっちこっちに擦り傷切り傷打ち傷があって言葉がつまった。

「みんなキズ大丈夫?」
「リリナちゃんの踊り娘衣装に癒されました」
「ウソップも手当てしたし、ひとまず大丈夫だ」

ウソップを見ると弱々しくだけど親指をたててくれたから、少しホッとした。みんなで宮殿に向かって走ってたら正面からいきなり荒れた風が吹いてきた。その風は治まる気配がなくて同じ方向から吹き続けてて、砂混じり。となったらクロコダイルしかいない!

「なんだこの砂嵐は!」
「リリナ止められるだろ!」
「風の境目に行かなきゃ消せないの」
「それなら先を急ぐぞ!これぐらいなら大したことねェ!」

それから宮殿が近くなったときルフィの声が聞こえた気がした。ビビもクロコダイルもそこにいるみたい。

「ルフィ?」
「なに!?ルフィがいるのか!?」
「人が多くて鼻が効かねェ!」

宮殿が近くなると人が多くなってきて争ってるとこが多くなってきてガヤガヤ騒がしい。その人達の間を通っていくと前を走ってたチョッパーが足を速めて見えなくなっちゃった。

「ああああーっ!!ルフィが生きてるぞー!」
「何ィイ!?ルフィー!?」

やっと見つけたルフィは騒ぐあたし達なんかお構いなしに何かを狙ってこっちを見てくれない。けどそんなに傷だらけじゃないし一安心かな!

「な!な!だから言っただろっ!おれにはわがっでだ!!」
「わかってたって奴のツラかよ」
「元気そうだね!」
「ウソップさん!サンジさん!リリナさん!」

あ、ビビも泥だらけだ!ちょっとバラバラになっただけでこんなに傷だらけになってる!

「ウソップ〜〜っ!」
「ナミさん……!Mr.ブシドー……!みんな無事で!」
「誰が宴会の小道具作ってって頼んだのよっ!」

後ろから来たナミがウソップの頭を棒で殴った。さすが容赦ないなー。みんな傷だらけだけどゾロが一番酷いな。服が血だらけだ。

「悪ィみんな。おれあいつにいっぺん負けちまったんだ。だからもう負けねェ!あとよろしく」

腕を伸ばして上のほうに捕まったまま喋りだしたルフィ。なんだあたし達がいる事気付いてたんだ。ルフィなら気づいてなさそうだったのに。

「さっさと行って来い」
「お前で勝てなきゃ誰が勝てるかってんだ!」
「あたしの分も思いっきりぶっ飛ばしてきてね!」
「終わりにするぞ!全部!!」

その一言にみんな声をあげて気合を入れ直した。ゾクゾクするよね、こういうときって。なんも怖くないし、なんでもできちゃいそう!クロコダイルのことはぶっ飛ばしたいけどルフィに任せるよ。頼んだからね。