あれから3日たってやっとキズが治った。あたしが寝てる間に、血のついた踊り子の衣装は誰かが洗ってくれたみたいで血の跡なんて真っさらになくなってた。
それからぐるぐる巻き髪のおばさんにお洗濯の仕方を教わって今宮殿の庭で特訓中。お洗濯ってこんなに楽しいんだなー。洗剤いい匂いだし太陽の光が気持ちいい。
「よーし、今日もしっかり洗おう!」
水を入れた洗濯桶に洗濯物と洗剤を入れてまず揉む。これで船のお手伝いができるもんね。
「よおリリナ。ルフィが起きた、ってお前何やってんだ?」
「え?お洗濯」
「……お前を?」
ゾロが来て意味のわからないこと言われてよくよく自分を見てみると、洗濯物より自分にばっか泡がついててビショビショになっていた。
「こんなはずじゃないのに!」
「羊になりたいのか?」
「違うもん!ちょっと失敗したのっ」
「ちょっとどころじゃねェだろそれ」
「もう!静かにしてて!」
いちいち口出ししてくるゾロを睨みつけて、作業を再開させると木の陰に座ってこっちを見てくる。
「つかなんでお前洗濯なんかやってんだ?」
「船にいるときにする事が欲しいから」
「する事って。お前遊んでただろ」
実は船に乗せてもらうようになってから少し気にしていたことがあって。あたしもちゃんと役割みたいなのがあって、みんなの役に立ちたかった。
「暇つぶしとかじゃなくてやる事を探してたの!ナミは航海士だしサンジくんはコックさんでチョッパーはお医者さんで、ウソップはメリー直したりしてるし!」
「ウソップは船大工じゃねェけどな」
「それはいいの!」
「なるほどな。そんな気にするこたァねェんじゃねェのか?現にお前が遊んでても誰も文句言わねェだろ」
「そうだけど……。でもこの一味には服洗う人っていないでしょ?男部屋一回覗いたことあるけど、服山積みだったしそれならあたしがやろうって!」
「まァできる事を見つけたんならそれをやりゃあいいんじゃねェの」
さっきあたしが泡だらけだった事にはグチグチうるさかったのに、今は興味なさそうに芝生に寝っ転がってる。いいんだ、暇人ゾロに遅れを取らないようにやれることを見つけたから。
「よーうし!これで終わりっと」
昼寝しだしたゾロをほっといてお洗濯を続けてやっと物干しに干せた。今はまだ時間かかるけど慣れてきたらもっと早くできるようになるかな。
ふと大の字で寝ているゾロが目についた。さっきは憎たらしかったのに、気持ちよさそうに寝ている姿に惹かれて、少しずつ睡魔に襲われる。ちょっとくらいいいよね。近くに寝ていればゾロが先に起きても起こしてくれるだろうから。
「おやすみなさい」
あくびをすると一気に睡魔に襲われて抵抗しないでそのまま芝生に転がった。