宮殿を出てから帰りもカルガモ隊に乗せてってもらった。この子達ともお別れなんだなって思うと少し寂しい。大事なときにいつもお世話になってるよね。
「ん待っってたわよアンタ達っ!おシサシブリねいっ!!」
「さァ着いたぞ」
「よーし、荷物下ろせ。ありがとなお前ら。お前達ともここでお別れだ」
「気ィつけて帰れよ」
「王とかちくわのおっさん達によろしくなァ!」
「元気でなァー!」
また同じ速さで来た道を戻っていく6羽のカルガモ達。小さく見えなくなってから、持ってきた荷物を船の上に運んでる間にボンちゃんとみんなが話してて、結局ボンちゃんの船と一緒にサンドラ河の下流に海軍の船が待ち伏せてる海軍から逃げようってことになった。
空が明るくなってきて河を下っていくと本当に海軍の船がいて、取り囲まれて袋の中のネズミになった。
「くっそー!砲弾で来い!はね返してやるのに!」
「こんな鉄の槍を船底にくらい続けたら沈むのは時間の問題だぞ!」
「まったくジョ〜ダンじゃナーイわよーう!」
「来たァ!」
「"シルト・トロンべ"!」
海軍の船から撃たれた鉄の槍を突風を起こして風の壁を作ると槍をはじく事ができた。
「リリナーっ!!」
「アンタやっぱりすごいのねい!」
「よし!攻めにでるわよ!」
「来れば守れるけど、攻めることはできないよ」
「なんてこった!」
「もう!何とかしてよあんた達!」
「おい!もう穴塞ぎきれねェよ!?」
「8隻相手じゃ手数が違いすぎる!」
「白兵戦ならこっちに分があるってのに!追おうが逃げようが、コイツら絶対にこの陣営を崩さねェ!!」
そこでウソップが唯一の砲弾を敵の船目がけて撃ったら見事に命中したおかげでその隣の船もまきぞえで沈んでいった。
「よ、よぉし!計算通りだおれにかかりゃあんなモンああだぜ!」
「鼻ちゃんスゴイわ!やったわねい!南の陣営が崩れたっ!あそこを一気に突破よう!!」
沈んでく船をみて感動してたら少し遠くのほうから他の船より大きい船を見つけた。
「黒檻のヒナ!この海域をナワバリとする本部大佐よう!厄介な奴が出てきたわ!さっさとトンズラぶっコクわよう!」
ボンちゃんともここでお別れ。ずっと疑ってたけど、悪いオカマじゃなかった。オカマはあんまり良くないかもしれないけど、ボンちゃんは嫌いじゃない。
「何やってんのアンタ達ィ!逃ィーゲルのよう!あの南の一点を抜ければ被害を最小限に逃げ出せるわ!このまま進めば必ずやられるわよう!?」
「行きたきゃ行けよ。おれ達はダメだ」
「ダメだってナニが!?」
「東の港に12時!約束があるの。回り込んでる時間はないわ。つっ切らなきゃ」
「ハン!バカバカしい!命はる程の宝でも港に転がってるっての!?勝手に死になサイ!」
「仲間を迎えに行くんだ!」
「……ここで逃げるはオカマに非ず!命を賭けてダチを迎えに行くダチを、見捨てておめェら明日食うメシが美味ェかよ!いいか野郎共及び麦ちゃんチーム。あちしの言う事よォく聞きねい!」
ルフィの言葉を聞いてからボンちゃんの様子が変わって、結局助けてくれるみたい。変装を終わらせたボンちゃん一味だけどやっぱりボンちゃん以外は似てない。あたし達は物陰に隠れてボンちゃんの船を海軍が追いかけたのを確認してから東の港に向かった。振りきったと思ったはずなのに海軍の船に追いつかれた。向こうも人数多いけれど、いつもみたいに直接戦えるから百人力。
今度こそ振りきって約束の港で12時になるのを待つ。そろそろなのに、ビビは来ない。
「行こう、12時を回った」
「来てねェわけねェだろ!下りて探そう!いるから!」
「おいまずい!海軍がまた追って来た!」
「一体何隻いるんだよ」
どうしても諦めきれない。だって別れたとき、またねって言ってしまった。また会えると思ったから。ビビに会いたい。
「ビビ……」
「船出すぞ!面舵!!」
「諦めろルフィ。おれ達の時とはワケが違うんだ」
「みんなァ!!」
「ビビ!?カルー!」
「お別れを!!言いに来たの!!」
「私、一緒には行けません!今まで本当にありがとう!!冒険はまだしたいけど、私はやっぱりこの国を愛してるから!!だから行けません!……私は、私はここに残るけど……!いつかまた会えたら!もう一度仲間と呼んでくれますか!?」
「いつまでもナバ……!!」
ビビの問いかけにルフィが大声で答えようとしたら、ナミがルフィの口をおさえて止めた。
「返事しちゃダメっ!海軍がビビに気づいてる。私達とビビとの関わりを証拠づけたらビビは罪人になるわ」
あんなに頑張ってきたのにこのままさよならなんて寂しいよ。寂しくて流れてくる涙を手で拭いてると、サンジくんが左腕の袖をまくって拳を上に突きあげた。何をしてるのか分からなくて首を傾げてたらゾロとナミが真似しだしたとき、やっとその意味がわかってあたしも拳を空にあげた。ビビの顔は見られないけど、これがちゃんと仲間の証。あたし達はずっと仲間だ。
「出港ーー!!」
ビビのいる岸から遠ざかるように沖へ進む。また海軍の船が追いかけてきたけど、がむしゃらに戦って振りきる。みんな話なんてしないで、ただ目の前の敵を夢中になるフリして。考える暇なんてないように。考えたら、きっと涙が出ちゃうから。