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ナミからアラバスタの現状を知らされて空気の重くなった部屋に外で見張りをしていたゾロがみんなを甲板へ呼ぶ。

外へ出た途端に航海士であるナミがなにかを感じとったみたいで、船の進路を変えるように指示を出した。先に出てった3人に続いて仕事を手伝おうとあたしも出るとさっき外にいたときの風とは違う、違和感に気づいた。

「変な風」
「あんたも分かる?」

赤い顔をあたしに向けてきょとんと首を傾げたナミは、苦しそうな息遣いだ。見るからに辛そうにしているので、あんまり無理はしないでと声をかけると、大丈夫よ。と風の吹く方へ顔をそらした。


「みんなにお願いがあるの」

方向を変えて一段落したところでビビが口を開く。全員から視線を向けられても真剣な表情を保っているビビにその先を催促することなく次の言葉を待った。

「船にのせてもらっておいて、こんなこと言うのも何だけど、今私の国は大変な事態に陥っていてとにかく先を急ぎたい。一刻の猶予も許されない!だから、これからこの船を最高速度でアラバスタ王国へ進めてほしいの!」
「当然よ!約束したじゃない!」
「……だったらすぐに医者のいる島を探しましょう。一刻も早くナミさんの病気を治して、そしてアラバスタへ!それがこの船の最高速度でしょう!?」

ビビの言葉にに曇っていたみんなの顔が一気に晴れだす。まるでその台詞を待っていたように。

「そおーさっ!それ以上スピードは出ねェ!」
「いいのか?お前は王女として国民100万人の心配をするべきだろ」
「そうよ!だから早くナミさんの病気を治さなきゃ」
「よく言ったビビちゃん!ホレ直したぜおれァ!!」
「……いい度胸だ」

誰が何を言っても聞かなかったナミが、やっと弱音を吐いたことで安心したようにビビは笑い、みんなも顔を見合わせた


「オオ!何だありゃあああ!!」
「あ、あれはサイクロン!」

船の後方に大きなサイクロンが現れたのにルフィが気付くとみんなが騒ぎだして口を大きく開けてただサイクロンを見ていた。あんな大きいのは久しぶりに見たかもしれない。

「よっしゃ、それじゃ急ごうか!」
「このまま南へ!医者探しに行くぞ!」
「ナミすごい!」

ルフィの号令にみんなで声を上げて拳を突き出す。わくわくしてきたから一緒になって拳を突き上げた。やっぱり人がいると楽しい。賑やかな人に拾ってもらえたことが嬉しかった。