041

ナミ達の話を聞いてると次は秋島らしい。待ってました!秋大好きだ。ブドウ食べたい。

「いてっ」

次の秋島に思いを馳せてウキウキしてたら上から何か降ってきて、頭にあたった。なんだかちょっとチクってしたし。

「リリナちゃん、どうかしたのかい?」
「んー、なんか頭に……」
「ん?雨?」
「雨じゃねェ」
「あられか?違うな、何か降って来……え?」

空から小さい欠片が落ちてきてるのが分かって上を向くとドアップで船が見えてすぐ隣に落っこってきたその衝撃で波が起きてみんな大パニック。

「捕まれ!船にしがみつけ!」
「何!?これ何!?ねェ何!?」
「まだなんか降って来るぞ気をつけろ!」

揺れが大きくて海に振り落とされそうだからマストに掴まってジッとこらえる。もう振り落とされないから!もう漂流なんてしたくないもん!

「ルフィ!船を守れもうもたねェぞ!」
「よし!……ん?ウソップ?」
「案ずる事なかれ。こうやって落ち着いて目を閉じて、そしてゆっくり瞼を上げるとほーらそこにら静かな朝ギャーーっ!!」

ウソップの叫び声が聞こえたらまた揺れが激しくなってマストに引っ付いた。いつになったらおさまるのか分からないけど、とにかく早く落ち着いてくれる事を願いながら腕の力を強くした。

「もう何!?怖いよおお!」
「リリナちゃん大丈夫だ、怖くねェよ」
「サンジぐんーっ!」

怖くて目が開けられないけどサンジくんが声をかけて肩を叩いてくれた。やざじい……。


だいぶ揺れが静まったとこで目を開けて恐る恐る海を見たらバラバラの船が海に浮かんでる。今の衝撃もあるかもしれないけどだいぶボロボロ。

「何で、空から船が降って来るんだ!?」
「奇っ怪な!」
「空にゃ何にもねェぞ」
「あ!!どうしよう。ログポースが、壊れちゃった!上を向いて動かない!」
「違うわ。より強い磁力をもつ島によって新しいログがかきかえられたのよ。……指針が上を向いているなら空島にログを奪われたという事!」

ロビンが言った空島って言葉に反応する。聞いたことあるんだよ、空島。

「空島、って何よ!」
「浮いてんのか島が!!」
「あの船やガイコツはそこから落ちて来たのか!だが空に島らしきモンは何も……」
「そうじゃないわ。正確に言うと浮いているのは海」
「海が!?」

そういえば前にオヤジが空島のこと話してくれたなあ。でも前の話だからもうあんまり覚えてないな。何だったっけなあ……。

「あたしも聞いたことあるよ。空島の話」
「どんなとこなんだ!?」
「えっとねー。……あ!すごい人がいてすごいものがたくさんで、すごいとこなんだって!」
「……それだけ?」
「うん!」
「すげーものかァ!空に海が浮いてて島があんだな!?よしすぐ行こう!野郎共!上に舵をとれ!!」
「上舵いっぱーい!」

あたし達空島に行けるんだ。嬉しいなオヤジにおみやげ話ができる。きっと喜んでくれるね。酒がうめェって!

「よーし!空への手がかりだな!んじゃああの船に探検しに行こう!」
「ようし、おれも行くぞ!」
「あたしも行くー!」
「リリナちゃんはダメだ!」

ルフィの提案に賛成して手をあげたらサンジくんにダメって言われた。

「えー!なんで!?」
「リリナちゃんは泳げねェだろ。もしもの事があったらあいつらには任せられねェし」
「ルフィだって泳げないじゃん!それにぴょんって跳んでいけば大丈夫だもん」
「まー、大丈夫だサンジ。もしものことがあったら頼む」
「……足元に気をつけて行くんだよ」
「うん!ありがとう!」

困った顔をして結局許してくれたサンジくんにお礼をいって先に行っちゃったルフィとウソップを追いかけて向こうの船に跳びうつった。

「ぼろぼろー」
「リリナ気をつけねェと足元抜けるからな!」
「はーい、ぎゃーーっ!」
「言ったそばから……」

ウソップは超能力者かと思うくらいタイミングよくいきなり足場が崩れるんだもんビックリした。人の忠告は聞いとくもんだね。もっと気をつけなきゃ。

「何もないねー」
「だいぶ船も沈み始めてきたな。そろそろ戻るか」
「ぶわっぷっぱばすぺてー」
「ルフィ!しっかりしろー!」
「ルフィー!」

気がついたらルフィがなぜか溺れてたからウソップが引きあげてメリーに戻った。

「みんな!やったぞ!すげェもんみつけた。これを見ろ!」

嬉しそうにルフィが広げた紙には島の地図が書いてあって端っこにスカイピアって書いてある。

「空島の、地図!?」
「スカイピア。本当に空に島があるっていうの!?」
「やったぞウソップー!チョッパー!空島はあるんだー!!」
「夢の島だ!夢の島へ行けるぞォ!」
「夢の島ァ!?」
「騒ぎすぎよ。これはただの可能性にしかすぎないわ。世の中にはウソの地図なんていっぱいあるんだからっ!」

みんなと喜んでたのにナミの一言で一気に熱が冷めちゃった。航海士ってたまに残酷だよね、ナミに限らず。

「行き方がわかんないって話してんのよ!」
「航海士だろ何とかしろ!」
「何とかなるもんとならないもんがあるでしょ!?」
「関係ねェ!空に行くんだ!」

ルフィとナミの言い合いはルフィが押し負けて終わった。さっきの船もだいぶ沈んじゃって浮かんでるのは小さい破片くらいになっちゃった。

「今必要なのはロビンの言う通り情報よ!あんなでっかい船な本当に空へ行ってたんならこの船が行く方法だって必ずある!何とかしてさっきの船に残ってるハズの記録を引き出しましょう!」
「でも船はもう完全に沈んじまったぞ」
「沈んだんならサルページよっ!」
「よっしゃあああ!」
「できるかァ!」


サルページが出来なくても自分達が潜る事ならできるってウソップがそれ用の道具を作って、ルフィとゾロとサンジくんが行く事になった。ほんとはあたしも行きたかったけどナミがダメって言うんだもん。みんな何であたしを自由にしてくれないんだろう。

「お前はホントにムチャさすなあー」
「ナミさん。おれが必ず空への手掛かりを見つけてくるぜ」
「よろしくね」
「安心して行って来い。おれの設計に不備はない」
「なんかいいのあったら持ってきてね!」
「そのために行くんだろーが!」

ルフィだけ樽を2つ繋げたやつ。なんか宇宙人みたいで面白い。

「じゃ、幸運を祈ってるわ」

ドボンって一緒に沈んでく3人を手をふって見送る。どんどん小さくなってすぐに見えなくなっちゃった。何かいいもの見つかるといいなー!宝石とか。