045

たこ焼き食べてからメリーの修理をしてるときにティーチの気配を感じた。何でここにいるの。じゃあ、まだエースはティーチを見つけられてないんだ。すごいざわざわしてきた。

「ル……ル、ル、ルフィ!!ゾロ!!お前ら、何だそのケガ!何があったんだ!?」
「ナミさんっ!ナミさんは無事か!?」
「ああっ!!い!い!い!医者ァーーっ!!」
「だからおめェが診ろよ」

そんな矢先に帰ってきた3人。ルフィとゾロは血がすごくてウソップが慌てる。けどナミは無傷みたいで血は一滴もついてない。町で何があったの?まさか、ティーチにやられたとか?

「大丈夫?」

切り傷が顔にたくさんある。まだ血が出てきてる箇所もあるし、痛々しい。チョッパーが2人の手当てをしてるとこを見守る。海賊にやられたんだって。

「あんた達が済んだって私の気は済んでないのよ。何よ!男なら売られたケンカは全部買ってブッ飛ばしちゃえばいいのよっ!いいえ!こんなハラ立つ町いっそ町ごと飛ばしちゃえばいいんだわ!」
「お前最初に何て言った」
「過去は過去よ古い話してんじゃないわよ!ハッ倒すわよあんた!」

ルフィ達は売られたケンカを買わなかったんだ。だからナミだけあんなに気が立ってるんだね。詳しい話はしてくれないからぐるぐると悪い方に考えちゃうよ。やられた相手がティーチじゃなきゃ何でもいい。

「そうだ空島の話は聞けたのか?」
「そらじま?知らないわよ、もう。空島って名前を出しただけで店中が大爆笑。私そんなに面白い事言った!?何なの一体っ!!」

恐かったナミの顔が空島の話を出しただけでもっと影がかかって恐くなった。……いま空島の話はタブーだね、気をつけよう。あ、ロビンが帰ってくる。ロビンは何しに行ってたのかな?

「ずいぶん荒れてどうしたの?」
「ああっ!お帰りロビンちゃん!お食事になさる?お風呂になさる!?」
「ロビンどっか行ってたのか」
「ええ。服の調達と空島への情報でしょ?」
「そうよあんたよ!ロビン!あんたが空島がどうとか言い出すからこんな事になったのよ!もし在りもしなかったら海のモクズにしてやるわ!」

ナミがロビンにまで当たるようになってしまった。これは相当頭にきてる。誰に何されたのかな。ナミをこれだけ怒らせてるんだもん相当な事されてきたんだよ、きっと。

これからロビンが入手したこの島にいる空島の事を知ってそうな人のとこに行くんだって。空島の事知ってる人だといいな。空島行った事ある人だったりして。


「そうだルフィ。エースのビブルカード貸して!」
「何だそれ」
「ほら、アラバスタでエースにもらったやつ」
「あー、あの紙きれか。ビビルカードっつーのか!」
「ビ・ブ・ル・カード!」

ルフィからカードをもらって床におくと私のほうに少しずつ動いてきた。どこ行ってんだろう。まさかどこか寄り道とかしてないよね?

「なんだ?動いてる!生きてんのか!?」
「違うよ。エースも同じ紙を持ってるから、その紙がお互いを引き合うからエースの居場所を教えてくれてるの」
「へー、スゲーな!ビビルカード!これ出せばエースに会えんのか!」
「だいたいの居場所が分かるってだけだけどね。それとビブルカード!」

もう何回も言い直してるのに。ビブルカードの行く手を阻んだりして遊ぶルフィをみて呆れる。

「……エース、今何してるかな……」
「探してるやつに会えたかな!」
「……会えてないよ」

ししっ、て笑って言ったルフィの言葉にティーチの笑った顔が浮かんでまたざわざわし出した。できれば思い出したくないけど勝手に浮かんでくるからタチが悪いよね。

「そうか?今見つけたとこかもしれないぞ!」
「ううん、絶対まだ。……ルフィ、町に黒いひげで隙っ歯の男いなかった?」
「ああ、いたな。でっけェ奴。話したぞ」
「え!ほんと!?」

まさか話したなんて!何もされなかったかな?ルフィ手配書も出てるから何かして来そうな気がするけど話したってだけならさっきの傷はティーチにやられたものじゃなさそうだな。

「ああ、変な奴だった」
「そうだよね、変だよね。」

マルコも変だって言ってた。気をつけろって。今思えばティーチと2人で話してるとき必ずマルコが来て間に入ってくれたのってそういう事だったのかな。その時は邪魔に来たんだとばかり思ってた。

「あんな奴よりエースの方が絶対強いけど、なんでか分からないけどあいつの事考えると胸がざわざわして嫌なの」
「大丈夫だろ、エースは強ェし!お前だって知ってんじゃん!」
「うん。でも……エースも1人になると何するか分からないんだよ。ルフィと一緒」
「まーおれ達小せェ頃はずっと一緒だったからな!」

小さい頃か。エースと仲間になりたての頃にずっと弟と一緒だったって話ししてくれたな、色々あったって。ガープおじいちゃんに色々痛い目に遭わされたって、楽しそうに話してたな。

「今度さ、その時の話して!小さい頃のエースどんなだったのか聞きたい!」
「ああ!してやる!」

小さい頃のエースを知ってるのは一番近くにいたルフィだし、そのルフィが今すぐ近くにいるんだもん聞かなきゃ損だよね。エース、ルフィとか周りの事ばっかりで自分の事は話してくれないし。

「小さいエースどんな子だったのかな?やっぱり可愛かったんだろうな!」

小さい頃からやんちゃな子だったのかな?いつもニコニコしてて愛想のいい子だったんだろうな。

「お前、エースのこと好きなんだなァ!」
「え……!?」

隣で浮かれるあたしを見てたルフィがにんまり笑ってそう言った。そんな事言われるなんて思ってなかったから一気に顔に熱が集まって暑くなっちゃった。あたしそんなに分かりやすかった?ルフィに分かるくらいだもん、相当顔に出てたのかも。やだ恥ずかしい。

「そりゃそうだ!エースはかっけェもんな!」
「う、うん……!でもルフィ、この事みんなには内緒にしてね!」
「何でだよ」
「恥ずかしいから!絶対!ね!?」
「分かったよ。誰にも言わねェ」

渋った顔してたけどなんとか約束とりつけた。でもルフィの事だからうっかり口滑らせちゃいそうだなあ。警戒しとかないと。みんなにバレちゃったら今の恥ずかしさと比べものにならないからね。