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本当の空島に着いてからルフィ達が一目散に船を降りてビーチに遊びに行っちゃってまた取り残された。あたしも早く降りたい。目が見えなくてもいいからとりあえず船から降りちゃえ。

「あたしも降りる!ナミ、どれくらい深いかな?」

ブーツを脱ぎながらナミに聞くと膝の少し上くらいだって言うから走って飛び降りたら、思ってたよりも浅くてビックリした。ここが空島か。気持ちいい。

「わーい!上陸だー!」

さっきのフカフカした雲よりしっかりしてるけど、すごい気持ちいい。これも雲なんだね。不思議だ。初めての体験にとってもテンションあがる。

「はーーっ!ここは何なんだ!冒険のにおいがプンプンすんぞ!!」

みんな思い思いにこのビーチを堪能してるからあたしも少し海で遊んでみようかな。雲の海に入ると、綿を蹴ってるみたいに抵抗が少なくて気持ちいい。

「これなら上手く泳げるかも!」

上に着てるシャツを脱いで一息ついたらビーチの外れに人の気配を感じてそっちの方をみたら盛りあがった雲の上で女の人が何かの楽器を弾いてるみたい。

「おいあそこに誰かいるぞ!」
「また、ゲリラか!?」
「待て違う!……天使だ!」

サンジくんが天使だって言うと、その人がこっちに気づいて楽器を弾くのをやめた。

「へそ!」

へ、へそって……?いきなり意味のわからない事を言われて首を傾げる。

「青海からいらしたんですか?スー、こっちへおいで」
「……下から飛んで来たんだ。お前ここに住んでんのか?」

ルフィと話をする女の人がみんなのとこに歩いていってるから、あたしもビーチにあがって合流した。ルフィの持ってた果物みたいなのをナイフで切り口をあけてくれてて、それを飲んだルフィがあまりの美味しさに驚いてた。あたしも飲みたい。

「私はコニス。なにかお困りでしたら力にならせてください」
「ああ、それが君の視線で心に火傷を……」
「邪魔。知りたい事がたくさんあるのよ。とにかく私達にとってここは不思議な事だらけで」
「はい。何でも聞いてください」

ナミが話そうとしたとこに割って入ったサンジくんが耳をつままれて退かされた。美味しい果実の中身を吸うチョッパーの隣に座ると、甘い匂いがした。

「おい、海から何か来るぞ」
「ナメクジだ!」
「あ、父です」

海から変な乗り物に乗って現れたコニスのお父さんはコニスとさっきの聞き慣れない言葉を交わしてこっちにやってきた。

「あれはなに!?あの乗り物!」
「あ、ウェイバーの事ですか?」
「はいすいません。止まりますよ」

コニスのお父さんはビーチに乗りあげようとしたら、何かに滑って少し暴走したけど木に激突して止まった。面白い人。

「お友達ですか、コニスさん」
「ええ、今知り合ったんです父上。青海からいらしたそうで」
「そうですか。それは色々戸惑う事ばかりでしょう。ここは白々海ですいません」
「え!?いやそんな」
「申し遅れましたが私の名はパガヤですいません」
「いやいやこちらこそ」

コニスのお父さんはどこか変わった人だけど、今ちょうど海でとってきたものを食べさせてくれるって言ってくれて、家にお邪魔させてくれるみたい。

ウェイバーっていう乗り物に興味を持ったナミがその乗り物の説明をしてもらって、ルフィが乗ったら思ってたより操作が難しいみたいで派手に転んでた。そんなに難しい乗り物なのにナミが悠々と乗りこなしてるみたい。訓練すれば10年くらいって言ってたし、きっと難しいんだろうな。あたしも乗ってみたいなー。目が治ったら乗らせてもらおうかな。