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「ウソップのアホー!」
「イヤ何でおれだよ」
「はは!」
「ふふっ。じゃあその貝の殻頂を押してみて下さい」

コニスのお家に来てからお部屋にいろんなものが飾ってあって、ところどころ貝がある。音を記憶できる貝なんだって。

『ウソップのアホー!イヤ何でおれだよ。はは!ふふっ。じゃあ……』
「うわ!ウソップが貝にバカにされた!!」
「違うだろお前の声じゃねェか!」
「へー!すげェな音を記憶したのか。この貝がダイアルか!?」

すごいな。どうなってるのかな?音を記憶するなんて貝にできるの?ほんとは中に機械入ってるんじゃないの?ルフィ達と貝を楽しんでたらコニスと一緒にいた動物がすり寄って来た。毛がふわっとしてて気持ちいい。

「名前は?ごめんね、今こんなの巻いてるから怖いよね」

包帯を巻いてる異様な格好なのに離れていかないで、やっぱりすり寄ってくれる。嬉しいな。どんな子かな?


「さァ出来たぞ!空島特産フルーツ添えスカイシーフード満腹コースだ」
「んまほー!!」

サンジくんの弾んだ声が聞こえていい匂いが部屋に広がった。料理できたんだね!いい匂いだあ。……どうやって食べよう。

「リリナちゃん、おれが手伝うよ。ちゃんと小分けにしといたから」
「あ、サンジくん。ありがとう」
「どれを刺しても平気なように、殻とか食べられないもんは除いてあるから安心して食べな」
「うんっ」

そんな事までしてくれたんだ。優しいな。怪我してからお世話になりっぱなしだし、治ったらお礼しなくちゃ。

「……ナミさんがいねェな。おい!ナミさんはどこ行ったんだ!?」
「いるだろ、海に」
「いやいねェ」
「じゃ、ちょっと遠出してんだよ。放っとけって!」

ナミを心配するサンジくんの声を聞いて食べる手を止めて意識を集中してみるけど、ナミの気配が感じられない。ちょっと遠くまで行っちゃったのかな。

「ち、父上。大丈夫でしょうか……!?」
「ええコニスさん。私も少し悪い予感が……」

あたし達がナミの事で話してるとコニスとおじさんの声が少し暗くなった。悪い予感って、何か変な心当たりでもあるのかな?

「何だ?どうした」
「このスカイピアには何があっても絶対に足を踏み入れてはならない場所があるんです。その土地はこの島と隣接しているのでウェイバーだとすぐに行けてしまう場所で……」
「足を踏み入れちゃならないって何だそれ?」
「……聖域です。神の住む土地アッパーヤード」

そっか!ここはもう空の上だから同じ場所に神様が住んでてもおかしくないのか。って事はどうにかすれば神様を見られるって事か。すごいチャンスだよねこれ!

「神がいるのか!?絶対に足を踏み入れちゃならない場所に……!」
「はい。ここは神の国ですから全能の神、ゴッド・エネルによって治められているのです」
「おいルフィ!てめェ今何考えてる!?話をよく聞けよ!?足を踏み入れちゃならないっていうのはそこに入っちゃならないって意味なんだぞ!?ルフィ!?」
「あーそー。入っちゃいけねェ場所があるのか。そうか、絶対に入っちゃいけねェ場所かァ……」

ウソップが必死にルフィを説得してるみたいだけど、ルフィの声は入っちゃいけないって言葉を聞くたびに気が抜けて嬉しそうな声に変わってってる。それじゃ逆効果って事か。

「ん?でも神様なら入っちゃいけねェとことか入っても許してくれんじゃねェのか?優しいだろ?」
「いえ、でも神の決めた事を破るのは神への冒涜ですし……」
「……そうか。まあいいや、どっちでも」

それより神様ってどんな人かな?すっごく髪の長い女の人かな。それともすっごくひげの長いお爺さんかも。絶対会いたい。近いうちに見られるだろう神様のイメージが膨らんでジッとしてられなくなってきた。

「おし!とにかくナミを探しに行こう!あ、でもちょっとまてこれ食ったらな」
「そんな悠長な事言ってる間にナミさんの身に何か起きたらどうすんだお前。おいとけすぐ戻ってくるんだからよ」
「……ですけど彼女が本当にそこへ向かったかどうかもわかりませんし、くれぐれも無茶だけはなさらないで下さい!」
「ああそうだ。さっきからあなた方がおっしゃっている古いウェイバー、よろしかったら私見ておきましょうか。直せるものなら直しますし」
「あ、父はダイアル船のエンジニアなんです」
「本当か!?頼む!」

みんながそれぞれ動き始めて、あたしも立ち上がると持っていたお皿がサンジくんに奪われた。

「風使いさん一緒に行きましょ」
「うん!」

ロビンがあたしの手を引いてくれるから苦労しないで歩けそう。ロビンとはまだ少し緊張するけど、でもその感じもちょっと心地よかったりするんだな。