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ミルキーロードを通って生け贄の祭壇に向かうのに使う船を借りるために船着き場に着いた。コニスが使ってた船を借りる事になったんだけどさっきまで浮かれてたはずのルフィの声のトーンが少し下がった。

「どうしたの?」
「いや……知らぬが仏ってやつだ」

だいぶ気になるけどウソップが教えてくれなかったから、我慢しようって自分に言い聞かせて気にしない事にする。もしかしたらあたしもルフィみたいにサンジくんに蹴られちゃうかもしれないし。

「出口は2番ゲートです。神の島アッパーヤードへつながる巨大なミルキーロードへ出られるので……そこを通るだけです」
「……おいコニス」
「は、はい……」
「お前んち出てからずっと……何でお前震えてんだ?」

この後の説明までしてくれたコニスにルフィが落ち着いた声でコニスに話しかけた。なんか、気のせいじゃなきゃ前もこういう事あったような。

「コニスちゃあんっ!おれ達の事心配してくれてんだろォーいじらしいなァ!もーー!」

デレデレするサンジくんに真剣な顔をしたウソップが一発拳骨をきめる。ウソップもルフィと同じで違和感に気付いてるみたい。

「でもよ、おめェらこそ大丈夫か?町の奴らなんてあからさまにおれ達を避けてるくらいなのに、お前なんか船まで貸してくれるし、道案内もしてくれて。……これじゃおれ達と共犯になっちまうんじゃねェか?」
「お前よく見りゃ顔色悪ィぞ。そんなに恐かったんなら言ってくれりゃおれ達だけでここへ来たのに」

そう言ってコニスの顔を覗き込んで確認するルフィ。

「いえ!私……!違いますよ……変ですよね……試練のルート丁寧に説明したり……、ここへ自ら案内したり……、まるでここへあなた達を誘導したみたい……」

少しずつ言葉を繋いでいくコニスに周りにいた人達がどよめき出してその中の1人が話すコニスを止めようと声をあげた。

「逃げてくれませんか?……ごめんなさい!超特急エビ呼んだの私なんですよね……!」
「ナミさん達を連れ去ったあのエビを!?コニスちゃんが!?」
「犯罪者を確認したら裁きの地へ誘導しないと私達殺されてしまうから!!」

震えて泣き崩れながら言葉を紡ぐコニスを止めようと周りから次々と非難の声があがる。コニスを止めようとしながらも震えてたり、慌てふためいてる。

「これが国民の義務なんですよね……!ごめんなさい!!おかしいですよね……!?……何もかも!」
「バカヤローお前……、こうしなきゃ仕方なかったんだろ!?じゃあそれを……」
「何でおれ達に言うんだ!!」
「お前が狙われるんだぞ!!」

4人揃って声を荒げると空気が張り詰めだして裁きが来るだとか悲鳴があがる。空から異様な感覚がして咄嗟にそこから避けると重い音を立ててあたし達がいた雲の地面に雷柱が大きな穴をあけた。

「……今のは……?」

ウソップとサンジくんは傍にいるけどルフィとコニスがいなくて、慌てて探そうとしたら上からまた違う気配が現れた。

「2人共無事である!」

この声の主はここへ来たときにいきなり襲いかかって来た男から守ってくれたお爺さんだった。探してたルフィとコニスを助けてくれたみたい。ルフィを投げ捨てたけど。

「この娘は我輩に預けよ。みすみすエネルに狙わせはせぬ。おぬしらはこの国の本心を知った……神の力もな。これよりいかに動く」
「国はおれ達に関係ねェよ。神の島に仲間がいるんだ!」
「そうか。……幸運あれ」

それだけ言い残してコニスを連れて飛んでいった。羽ばたいてる音がかっこ良くなかった気がしてモヤモヤした気持ちのまま船に乗りこんだ。

「さあ行くか!神の島アッパーヤード!」