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まん丸神官を倒してから出口間近だった船に乗りこもうとしてウソップアーアアーに頼ったら、通りすぎる木という木全部に当たりまくって戦闘より傷が増えたり体力持ってかれたり散々だった。思いっきり頭打ったとこがすごく痛い。ずきずきするし、たんこぶできた。

「何だここ」
「間違いねェな。ここは次の試練のエリアだ。また神官が出て来るぞ気をつけろ!」
「そんな……試練は1コで充分だよチクショー!紐か!?鉄か!?沼か!?」

やっと落ち着いてきたとこで鳥とか動物の鳴き声が聞こえなくなって、草がさわさわ風に揺れる音が聞こえ始めた。

「紐がいいなー綱渡りしよう!」
「しねェよ絶対!」
「ただの草原みたいだぞ」
「ただのじゃねェよよく見ろ!棒にのってんのこれ全部ガイコツだぞ」

ガイコツって……ガイコツいるの?どれだけ?ああ目が見えなくてよかった。

「ん?」
「ん!?何か来る!」

左からいくつかの気配を感じてすぐに船の上をすぎてった4人のうちの1人が大きめの銃を構えてあたし達に向けてきた。

「出たーー!!」
「4人も!」
「にゃろう!ゴムゴムの……!"風船"ー!!」

ルフィが体を膨らませて放たれた銃弾は跳ね返って向かいの木に当たって爆発した。

「おいルフィ、あいつ白海で会った仮面のゲリラだ!」
「おいお前何すんだァ!覚悟あんのかァ!」

またいきなり攻撃してきたゲリラに威嚇するルフィ。

「……。お前達だったのか……、スカイピアで暴れる青海人ってのは。命が惜しけりゃあすぐに青海へ引き返せ……。妙な考えを起こしてこの島で何かしようというのなら……エネル同様に消すぞ」
「何をコノヤロォ!かかって来い!」
「よせやめろ!何も言うな!」

怒ってるルフィを止めようとするウソップをよそに4人がいる方を向く。これ以上何かしてこようって気はないみたいだけど。

「……!?ゲリラと神は別物なのか?」
「最もお前達にこの島から出る実力があればの話だがな」
「………何なんだあいつら……!」
「……わかった事は、ゴッド・エネルの敵で、おれ達にとっても敵だって事か」

どこかに向かっていなくなった4人のゲリラ達に少し安心する。今はもう動ける自信ないし、動きたくない。

「チキショー何なんだよこの島は……」
「……先へ進むぞ」



長い上り坂で項垂れたり下り坂でスリリングさを味わったり一回転したりを4人でワイワイ騒いで楽しみながら船に乗ってるとルフィがメリー号を見つけた。

「おォ!?ホラ見ろ!ゴーイング・メリー号だ!!あれが祭壇だァ!」
「あーー!ナミさーん!ロビンちゃーん!恋の試練を越えてきたよおおーっ!」
「何だ……試練ってあれだけだったか……」
「恐かったか!?お前ら!このキャプテン・ウソップが来たからにはもう安心だ!」
「みんなーーっ!!」

やっと祭壇に着いたんだ。長かった。みんな無事そうでよかったー。祭壇ってもっと高いとこにあるのかと思ってたけど、ぽつんとあるんだな。


みんなと合流してチョッパーに傷だらけのあたし達を手当てしてもらった。あたしはついでに目の検査も。

「ああ、右目はもう治ってるみたいだ」
「ほんと?よかった!ちゃんと約束守って包帯とってなかったんだよ!」
「それのおかげだな!さっきサンジが言ってたぞリリナ無茶したんだって?」
「してないよ。あれくらい大丈夫だもん」

右目をちょんちょん触って何かを確認してるチョッパーと話しててやっと巻かれてる包帯に気づいた。そういえばメリー号も最後に見たときより傷が増えてるし。

「じゃあとりあえず左目はまだ覆っておこう。眼帯で……」
「いやいやいや海賊といったらアイパッチだろ!な!」

どこからか出てきたウソップがじゃんって感じにアイパッチを見せてきた。小さくしたガーゼで瞼を覆ってからちょっときつめにアイパッチを付けたら目の前のチョッパーの目がキラキラと輝いた。

「おおお!海賊っぽい!」
「ぽいっていうか海賊だけどね、その子」
「強そう!?あたし強そう!?」
「海賊っぽい!」

何より空島の風景をやっとこの目で見られた事が嬉しい。アッパーヤードってこんなとこだったんだ。あたしこんなとこにいたんだ。辺りをぐるっと見渡すとなんとなく分かってたけど木が大きい。想像を遥かに超えた大冒険の匂い。やっと始まるよ。


「よーし……えーみんな色んな報告ご苦労!それぞれの情報で色んな事がわかってきたな。だが何と言っても今回の目玉情報はコレだっ!この島は何と猿山連合軍が探し求めていた黄金郷だったのだ!」
「マジでーーっ!?」
「黄金!?」
「さっき言ったでしょ!」

みんなで焚き火を囲んでウソップの仕切りで進んでたちょっとした話し合い。この空島が黄金郷?そりゃいくら海の中探しても見つからないわけだ。

「黄金かァこんな冒険待ってたんだ!」
「そう来なくっちゃ。話が早いわ!」
「コラコラルフィ!お前さっきのゲリラの忠告忘れたのかよ!」
「神が怒るぞ!?」
「フフ……面白そうね……!」
「まァ海賊がお宝目前で黙ってるわけにゃいかねェよな」
「敵も充分……!こりゃサバイバルって事になるな」
「あたしもやっと空島冒険堪能できるし!」

ワクワクしてきた!せっかく目が治ってきたのにこのままここをさよならなんてつまらないもん。溜めこんである分思いっきり発散しなくっちゃ!

「よーーしやるか!黄金探し!!」