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ご飯ができるまでの間、キャンプから離れてロビン達とちょっとした食料調達に湖に行くと端っこに光に反射して青くてキラキラ光るものを見つけた。

「わあ何それキレイ!宝石?」
「いいえ、これは塩よ。塩の結晶」
「塩!?これ全部!?」

よく見たら辺りの色んなところが光ってる。これ全部が塩なのかな?塩って固まるとこんな綺麗になるんだなあ。こんな天然の塩は初めて見たから少し感動して魅入ってた。

「いっぱい持って行こう!」
「そうね。コックさんきっと喜ぶわ」

丁寧に削ってから2人で大きい結晶を抱えてキャンプまでの道を歩きながら今日の夜ご飯の事を考えてみた。今日は何作ってくれるのかなあ?サンジくん。疲れてるだろうに、サンジくんってほんとにすごいよなあ。

「良かったわね、目の怪我が治って」
「うん、片目がまだだけどね!」
「風使いさんだいぶ愛されてるみたいだったからこれでコックさんも少しは気が休まるかしらね」
「サンジくん……?そっか、サンジくんにはいろいろお世話になっちゃったもんなあ。ちゃんとお礼言っておかなきゃ!ね!」

もう力いっぱい瞬きしても痛くない目を証明するように何回も瞬きを繰り返してたら、急に隣を歩いてたロビンが歩く足を止めたからあたしも止まって振り返るといつもより少し目が大きくて、少しだけ口が開いててロビンらしくない表情をしてる。なんかこう、いつもの余裕に満ちたような顔じゃなくて少し焦ってるような、そんな顔。あたし何か言ったかな?特に変な事は言ってないはずだけど。ロビンを見上げて首を傾げたら、いつもの柔らかい微笑みに変わってまた歩き出した。

「……なるほど。これは一筋縄じゃいかないわけだわ」
「え、なあに?どういう事?ロビン」
「こっちの話よ。……フフ」

ワンテンポ遅れた話についていけないあたしを置いて歩いていくロビンの後を首を傾げたまま追いかけてるうちにキャンプに着いた。何だったんだろう?なんにも分からない。もしかして大人な話なのかもしれない。たぶんロビンぐらいお姉さんにならなきゃ分からない話なんだろうな……。きっとナミにも分からないかも。

「わ!ロビンその青いの何!?宝石!」
「……フフ、キレイでしょ?だけど違うわ」

キャンプに着くと何か書きものをしてて眼鏡をかけたナミがロビンの持ってる結晶を見て眼鏡の奥の目をキラキラ輝かせた。さすがなかなか目ざといぞ。

「へえ!塩の結晶かよく見つけたなロビンちゃん。っお!リリナちゃんも!」
「これだけあれば十分だよね!」
「湖岸にあったのよ。あれば便利かと思って……」
「そりゃもう!サバイバルにあっちゃ命を繋ぐ塩分さ!」

顔がふやけてるサンジくんを通りすぎてテントの中に結晶を置いて外に出るといい匂いがした。この香りはシチューだ!最近食べてなかったからとても楽しみだなあ。いい匂い!



「あの子ちょっとやそっとのアピールじゃ見向きしてくれそうにないわね」
「え?」