「見ろ!言った通りだろ、ここに誰かがいたんだ!!見たんだおれはやっぱりあれは夢じゃなかった!……ゴーイング・メリー号が……修繕されてる!」
「確かに……折れきったマストまでちゃんと直ってる」
「……だが言っちゃ悪ィが下手くそだな」
しかしどいつが直してくれたんだ?直したんなら直したって一言くらい言ってってくれりゃァ良かったのによ。水くせェやつだな!
「いいやつがいるもんだ」
「……おれァてっきり、オバケかと……」
「……しかしこんな辺境で誰が船を直してくれるってんだよ。この
みんなが口々にあーだこーだ言ってる間に船首を見に行くといつも通り傷のない綺麗なメリーがいた。おれが守ってきただけあって綺麗だ。まァ最初の方に根っこの方ラブーンに折られちまったけどな。……あ。トサカがねェな。よく見たら羽もねェ!しっぽもだ!
「フライングモデルじゃなくなってるな、ウソップ」
「そこなんだ、それを考えてた。何でこれを直してくれた奴は……メリー号の元の姿を知ってるんだ。トサカがなかった事も羽やしっぽがなかった事も」
「ホラホラ!あんた達何サボってんこ!?脱出チームは昨日の後片付け!探索チームは冒険準備!」
ナミの一声にすっきり冒険の事に気持ちを切り替えた。おれも何か準備でもするか!そうだ!いつもサンジが一人でメシの用意してくれてっから、たまにはおれが手伝ってやるか!
「よーし!おれが食糧のふり分けをやるぞ!」
「ルフィ……それだけはおれがさせねェ」
「それより船を下へおろさなきゃ」
「そうだな、ロープ持って来い!」
「さてと、地図を見て!探索チームはルートをこうね南へまっすぐ、この右目に何らかの遺跡があるハズだからまァ敵もろもろに気をつけて黄金持って来て!」
南にまっすぐか。なんだ単純だな、南南。もう忘れねェ!
「簡単に言いやがって」
「何だお前黄金黄金言ってるくせに来ねェのか?」
「そうよ、だってコワイじゃない」
あんなに張り切ってたのにナミのやつ、いいとこ取りかよ。最初に見つけたやつが多めにもらえるとかねェかな。そしたら絶対おれが一番に見つけてやるのによ!
「その間私達はメリー号でこの島を抜けるわ。こっちも危険よ。なるべく早く遺跡付近の海岸へ行くからそこで落ち合いましょう!そしてそのまま空島脱出。これで私達は大金持ち海賊団よ!好きな物買い放題」
「じゃあ……東の海岸で無事会おうぜ!」
「おーし!そんじゃ行くかァ!!」
よっしゃー!肉食うぞ肉!たくさん!腹が破裂するくらい食っても足りないくらいの黄金見つけてやる!!
・・・・・
「風よし!舵よし!んー実に快適、クルーズは順調だ。しかしノロイなコリャ。おい航海士!何とかしろ」
「何ともなりませんキャプテン・ウソップ。
船首の近くで仁王立ちで腕を組んでるウソップは今だけキャプテン。全然しまらないけどね。
「ぬぬ!頑張れカラス丸。ああそれとサンジ、お前は常におれ様の護衛にあたれ。キャプテンこの森怖いんだ」
「黙れ、おれが守るのはリリナちゃんとナミさんのみだ」
「そうだ変な騎士のお薬の時間よね。チョッパーどこに置いてくって言ってたんだっけ」
「あァ薬なら冷蔵庫の横の樽の上だよ。頼むね」
サンジくんは昨日のキャンプで使った物の片付けであっちこっちに歩き回ってる。黙々と片付けてたからもう後一つ二つしか残ってない。
「この国の……歴史を少し……話そうか。我輩……6年前まで神であった……」
「頭打ったかおっさん」
さっきブツブツ何か言ってたお爺さんがゆっくり、はっきり話し出した。神だって言ったお爺さんにウソップがそう言うと、それを聞いてたらしい隣の鳥が馬になってウソップに噛みついた。馬っていうか、背中に羽が生えてるからもしかしてあれが前に騒いでたペガサスなの?なんだか残念……見なきゃよかった。
「……この
「空島にある
「……しかし
「ゲリラ達の事か……」
「じゃああいつら元々地上のジャヤに住んでた奴らなのか!?」
「そうだ。きっと不本意に島ごと空へ飛ばされたのだ」
「なのに島を追い出しちゃったって事!?」
「そうだ。空の者が私欲の為に彼らの故郷を奪い取った……。以来400年シャンディアと空の者との戦いは未だ止まぬ。シャンディアはただ故郷を取り戻そうとしてるだけだ」
「それ……ちょっと切ないわね」
「じゃあおめェらが悪ィんじゃねェかよ!」
サンジくんとウソップが指をさしてお爺さんに向かって言うとまた鳥がペガサスらしいものになって二人いっぺんに噛みついた。やめて、夢を壊さないで。ペガサスはそんなんじゃないよ。
「………そうだな、おぬしらの……言う通りだ」
ちょっとの小休止を挟むようにお爺さんはナミが持ってきた薬を飲んだ。