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「エネルは?何なの?ゴッド・エネル」

そうだ。コニスの事消そうとしたもんね。そんなの神のする事とは思えない。まん丸神官もあんな奴だったしロクな奴じゃないよエネルなんて。

「我輩が神であった時……どこぞの空島から突如兵を率いて現れ、我輩の率いた神隊とシャンディアに大打撃を与え神の島アッパーヤードに君臨した……。6年前の事だ。神隊は今そのほとんどがエネルによって何やら労働を強いられている。詳しくはわからん。……だがシャンディアにとっては……誰が神であれ状況は何ら変わらぬ。ただ故郷を奪還するのみ」
「その故郷を奪還するのみのシャンディアが何でおれ達を狙ってきたんだ。空へ来たとたんに」
「今労働を強いられていると言った神隊、時に船を手に入れ逃げ出す事があるのだ。シャンディアにとっては当然敵である、逃さず排除しようとする……!それと間違えたのだろう!」
「何だ、間違いで命狙われちゃたまんねェな」

このアッパーヤードが故郷なんだもんね、ゲリラ達。故郷を取り戻すための戦いがもう400年も続いてるなんて……どうしたら戦わなくていいようになるんだろう。

「我輩、空の騎士となったのもそんな脱走者を他の空島へ無事逃がしてやる為でもあるのだ。犯罪者ゆえもはやエネルの目の届くこの国にはおれんでな」
「聞いてりゃゴッド・エネルってのはまるで恐怖の大王だな」
「あたし人の物を平気で取るような人大っ嫌い」

嫌いだ。人の物を奪って自分の物にするとか、騙すとか、そうやらなきゃ人の上に立てないようなやつは嫌い。

「コラコラコラお前ら滅多な事言うもんじゃねェぞ!?全能なるゴッドは全てを見ているのだ!き……聞こえたんじゃねェか!?今」
「お前はいつからスカイピアの人間になったんだよ」

聞いてるなら聞いてるでいい。怖い事なんてないもん。得体の知れないやつのどこに怖がる必要があるのかな。

「恐怖か……いやそれよりタチが悪い。エネルはお前達の様に国外からやって来る者達を犯罪者に仕立て上げ、裁きに至るまでをスカイピアの住人達の手によって導かせる。これによって生まれるのは国民達の罪の意識。己の行動に罪を感じた時、人は最も弱くなる。エネルはそれを知っているのだ。迷える子羊を自ら生み支配する。まさに神の真似事というわけだ。……食えぬ男よ」

国とかそういう大きいものをまとめる人は相当頭よくなきゃできない。きっとエネルもそうなんだ。オヤジだってほんとは頭いいのかな。

「……エンジェルビーチへ着いた時はここは楽園にさえ思えたのに、とんでもない……。かつての黄金郷もえらいトコへ飛んで来ちゃったものね……」
「……おお、そうだおぬしらその……昨夜から騒いでおるオーゴンとは一体……何なのだ?」

「……え??」

黄金……知らないの?